夏の音は花火?それとも…淫らな音?

・作

紗奈は幼馴染である律樹に幼い頃から片思いをしている。しかし、何度告白しても実らない想い。今日こそは想いを実らせるために頑張ろうと決めた紗奈は、町内の花火大会で大胆な行動に出ることにしたのだが、彼はなかなか受け入れてくれない。それでもめげない彼女は次の手に出ることに…。

「ちょ…っ!ちょっと待って…うぅっ!」

「やらぁ…っ絶対にっ…ん、りっちゃんをきゅもちよくさせるんだから…んんっ」

背中を木につけた状態で、眉根を寄せて困った顔のりっちゃん。
耳がまっかになっていて、すごく可愛い。

そんな彼を下から満足気に見上げた私は、りっちゃんのはだけた浴衣の足の間で愛おしい彼のモノを口に含む。

しょっぱいような苦さが口いっぱいに広がる…。

ビクンと震えるりっちゃんの太ももをそっと撫でながら、頭を上下させて舌で彼を味わう。

ぐちゅ…じゅぽっじゅぽっ…

遠くで聞こえる花火に負けないくらいに、淫らな音が響く。
もちろん、その音はりっちゃんの耳にも届いていた。

「あぁ…紗奈っ、それやばい…ふぁっ、もう出そう…っ」

「らぁーめっ、んん…もほぉしゅこし…ふぁっ、んっ…!」

*****

今日は待ちに待った町内会の夏祭り。

この祭りは町が誕生した時から行われているようで、この日のために町内会の人たちが気合を入れて数ヶ月も前から準備を行っている大きなお祭りだ。

ちなみに、町全体が祭り会場になっていて、メイン会場は小学校のグラウンド。
街中の店が屋台を出したり、店の前でちょっとした出店を出していたりと、かなり賑やかな雰囲気になる。

そして、祭りのフィナーレに花火が上がるのも、ちょっとした町の自慢ポイントだ。
私は小さい頃からこの花火が大好きで、夏が始まる合図のようだとワクワクしていた。

それは24歳になった今でも変わらず。今年もお祭りの3日前に、隣に住むりっちゃんを誘いに家へと向かう。

りっちゃんこと律希は私よりも5つ年上の29歳で、私が幼稚園の時からの幼馴染。
今はまだ『幼馴染』だけど、今年こそは彼の『彼女』に昇格するつもりなのだ!

物心ついた時からりっちゃんのことが好きで、その想いは今でも変わらない。
彼に気持ちを隠してる…ってわけでは全然なくて、むしろオープンに気持ちを伝えている。

何か手伝ってくれたら「りっちゃん、ありがとう大好き」、家まで送ってくれたら「りっちゃん、おやすみ!大好きだよ」
などなど、めちゃくちゃ自分の気持ちをストレートに伝えている…つもりではあるけれど。

それなのに…私は毎年りっちゃんに見事なまでにフラれていた…。

実を言うと、毎年行われるこの夏祭りの時に私はりっちゃんに告白している。

自分の気持ちをどれだけ伝えても、いつもの柔和な笑顔で「ありがとう」としか言わない彼に私は、7年前の夏祭りから告白しているのだ。
そして、今年はとうとう8年目を迎える…。

りっちゃんの様子を見ても彼女がいる気配はないし、私のことを嫌ってるとかそんな感じはしない。
むしろ、小さい時から今もずっと変わらずに優しい。

それは幼馴染だから…?でも、これだけ告白してるんだから、そろそろ彼女にしてくれてもいいのにっ!

私はモヤモヤした気持ちを抱えながらも、彼の家のインターフォンをいつものように3回鳴らして、そのまま家に上がる。(これは私が来たことを知らせる合図で、りっちゃんのお母さんが提案してくれた)

少しだけ扉が開いているりっちゃんの部屋を覗くと、いつものように窓辺で静かに本を読む彼の姿が。

今日は淡いブルーの麻のシャツを着ていて、下はリラックスした雰囲気だけど、きちんとした感じにも見えるグレーのパンツスタイル。
髪は休日だからセットされていなくて、前髪が前に流れていて年齢より若く見える。

はぁ…今日もかっこいい!今すぐに抱きついて、こげ茶色の柔らかそうな髪をくしゃくしゃに撫でまわしたいっ!!

「紗奈?どうした?ボーっとして。ちゃんと水分補給しないと熱中症になるよ」

「子供じゃないんだから、それくらい知ってるわよ!って、今日私が来た理由はもう気付いていますよね!?」

私は両手を腰に当てて、りっちゃんの前に仁王立ちした。

「祭りですね?」

「はい、その通りです!だけど!今年はりっちゃんにも浴衣を着てもらおうと思って」

じゃーんと私は持ってきた紙袋から、男性物の浴衣を取り出す。

それどうしたんだよ?と目を丸くする彼に、うちのお母さんが私の浴衣を新調するついでに買ってくれたと説明した。

「ほら、クリーニング店の隣にある着物屋さんあるでしょ?あっちが閉店することになって、セールしてたんだって。それでお母さんが買ってくれたんだよー」

「浴衣ってけっこうするだろう、後でいくらだったか聞いといてくれないか?」

「お金とか要らないからねって言ってたよ?いつも私がお世話になってるお礼だって」

私が笑顔でそう言うと、律儀なりっちゃんはまだ納得していない様子だったが、最後はうちのお母さんに感謝しながら受け取ってくれた。

「ということで、お祭りの日はりっちゃんも浴衣着てね。絶対に似合うと思うし、楽しみにしてるから」

こうして、お母さんの協力もあって…(これは絶対に内緒!)、念願だったりっちゃんと浴衣で夏祭りが実現できる!!
お母様、本当にありがとうございます!

この流れで告白も上手くいきますように!私はお祭りの日の天気予報を見ながら祈ったのだった。

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