片思いしていた草食系推しくんと同窓会で再会した結果 (Page 3)

「…柊くん」

「何?」

「ジッパー、下ろしてください…」

「…は?」

いつも優しい柊くんが、明らかに怒っている。

でも本当に下ろせない。

何やかんや優しい柊くんなので、少々手こずりながら、下ろそうとしてくれた。

「…彼氏いるのにいいの?こんなの」

「え?」

「ごめん、なんでもない」

必死に見ないようにしながら、ストンとドレスを脱がせてくれた。

「…彼氏なんかいないよ」

後ろは見ることができない。私はやっぱりチキンだ。

「彼氏なんかいない。ずっと、柊くんのことが好きだった」

たぶん、この状況に頭がおかしくなっていたんだと思う。

「高校の時から、ずっと」
言い終わる前に、私は後ろから抱きしめられていた。

「…柊、くん」

「僕も、ずっと好きだった」

肩に柊くんの頭が乗る。

「第一志望に受かって新堂さんの近くになったし、もし今日言えたらって思ってたのに」

ばか。と消え入りそうな声が聞こえた。

しばらくそのままでいたのだけど、なんか背中に固いものが当たっているのに気づいた。

「あの…」

「だ、だって仕方ないじゃん。新堂さん、下着姿だし」

「と、とりあえず、シャワー浴びませんか…?」

*****

先にシャワーを浴びさせてもらったものの、この後どうしたらいいのか分からず、バスローブを着て正座でベッドにいた。

しかし、私にだって性欲はあるのだ。
大好きな人と両思いで、こんな所で我慢できるのか。

「お風呂上がったよ」

そういい、やっぱりソファに戻ろうとする柊くん。

「え?なんで?こっち来てよ」

せっかく両思いになったのに、寂しい。

「駄目」

「いや!寂しい!」

一瞬すごい目で見られた気がするけど、観念したようにベッドに来てくれた。

ベッドには来てくれるものの、ずっとそっぽを向いている。

嬉しくてつんつんつついたりしているのだが、頑なに向こうから触れてこない。

…私は、どうなってもいいのになあ。

思い切って、柊くんを抱きしめた。

「新堂さん!?」

「私、柊くんとなら」

大好きな人と同窓会で会って、しかも両思いで。
こんな非現実的な空間にいることが、私たちをおかしくさせた。

柊くんは起き上がり、私を押し倒すような体勢になり、激しいキスをした。

「ん…っ、」

口内に舌が入ってきて、必死に舌を絡める。
薄く目を開けると、柊くんも火照った顔で私を見ていた。

「あはは、顔とろんってなってる」

優しく微笑まれながら、頬を両手で包まれる。
ピアノをしていたらしい指は、長くて白い。

そのままぎゅっと抱きつかれ、耳や首にキスが落とされる。

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