花言葉のメッセージ。本能のままに求め合う、甘い雨の夜。 (Page 2)
「狭いですけど、どうぞ」
商店街を抜けてすぐに彼の家はあった。
綺麗に片付けられた部屋へと案内される。
貸してもらったバスタオルに身を包み、出してもらったホットミルクティーで冷えた身体を温める。
「一人暮らしで…味気ない部屋でごめんなさい」
『そんなこと!突然入れてもらってごめんね』
「僕が呼んだんですから!あ、そういえば、この前買って下さった花、咲きました?」
『綺麗に咲いたよ。すっごくいい香りで。でもあっという間に散ってしまって、もう少し見ていたかったなぁ…』
「月下美人はたった一晩で散ってしまう、そういう花なんです。短い命だからこそ美しいし、その儚さが神秘的で僕は好きなんですけどね』
『ほんと、詳しいね』
「花屋ですから。美月さん、月下美人の花言葉、僕が言ったの覚えてますか?」
『”ただ一度だけ会いたくて”、“儚い恋”…だったかな?』
「正解です。でも実は、他にもあるんです。何だと思います?」
『うーん、なんだろう?』
「隠れた花言葉は、“危険な快楽”」
優しい彼には似合わない言葉にドキっとした。
*****
『それは…知らなかった…』
「みなさん花を買う時、知らず知らず自分が求める花を選んでるんです。」
整った綺麗な顔が近付いてきたかと思うと…。
『ん…』
突然柔らかな唇に唇を塞がれ、そのまま胸を持ち上げるように揉みはじめる。
『ひぁっ…んッ…ぁ…、』
どきっと跳ねる心臓。
あまりにも性急な彼の行為に、頭と心が追いつかない。
『ちょっ…待っ…』
「美月さんの欲求不満、僕が満たしてあげますよ」
『え…』
「美月さん、僕を受け入れてくれませんか?」
『涼くん!?』
「家に来るのを拒まなかったのって、僕に少しは興味があったからじゃないんですか?」
…図星。
毎回あの花屋さんを訪れていたのは、涼くんに会いたいという私の下心があったから…。
「美月さんが欲しい…」
熱い視線に私の心は完全に奪われてしまった。
互いの濡れた服同士が張り付いて、涼くんの体温が伝わってくる。
『私も…涼くんが、欲しい…』
二度目の口づけは私から。
重なり合う唇が、甘い時間のはじまりを告げた。
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