噂のカッコイイバーテンダーは自然消滅した元彼。元彼は私を繋ぎ止めようと強引に迫ってきた (Page 2)
席に戻ると相変わらずハイテンションな礼奈。
「弥生、お店3時までらしいよ!ラストまでいとこ!」
「いや、あたしは帰…「こんな時間にひとりで歩くなよ」
今は2時をすぎたところ。
今日は礼奈に付き合って、次からはこのお店来なければいいか…そう思って席に座った。
聖司と知り合いというのが店内に伝わったらしく、他の女性客からの視線が刺さる。
礼奈はその視線に気付いてるけどスルー。図太い…
お酒は美味しいけど、視線が刺さって飲みづらい…
おまけに、視線を投げてくるのは聖司も一緒だった。
そして…閉店間近、礼奈が帰った。
はい…?
去り際に、「積もる話もあるだろうから先いくネッ☆」なんて言って。
いつの間にかお会計を済ませてたらしく引き止める間もなかった。
「弥生、〇駅が最寄りなんだろ?おれも同じ駅だから、片付けする間飲んで待ってて。送ってく」
「え、邪魔になるしいいよ帰る」
「だから夜中だから送ってくって」
「はい?だって礼奈は「彼女は駅の真ん前のアパートだからいいってさ」
カチャカチャキュッキュと、グラスを洗う音がする。
眠いな…
「弥生は彼氏いないんだって?」
ングッ!!!
危うく吹き出しそうになる。
なんで知って…って、礼奈が教えたのかきっと。
「はいはいそうですよ」
「ははっ、寂しいやつ」
失礼な…イラッとした私に視線を投げた聖司は…
「ま、俺も独り身なんですけどね」
「聞いてないし。…っていうかこんなに女性客多くて彼女いないわけ?」
「いや〜、ハイエナって苦手でさ。有難いけど追われすぎるとダメなんだよな」
「あっそ」
「っていうか、追いたい女がいたからかな?」
そう言ってカウンターを出た聖司は私の横に来て覗き込んでくる。
「近い離れて」
「やだ」
ガタッ
「!?ちょっ!」
手を引かれて立たされ、腰には手が回り向き合わされる。
「っ離してよ!こういうことは他の客にやって!」
「言っとくけどな…連絡先を貰っても連絡したことだってないぞ?」
腰に回された手に力が入って、より密着度が上がる。
「誰かさんと自然消滅して、それ以降ちゃんと好きになれる人がいなくてさ?」
「意味わかんない!離してってば!」
「別れた手前、実家に帰ってお前見た時も話しかけられなかったのに、今日こうして再会できたじゃん。…このチャンス逃したらもう追えなくなると思ったんだよ。弥生ちゃん?」
言葉に詰まってしまった。
私は好きな人こそできたけど…聖司以上に好きになれる人がいないとこの間思い返したばかりだった。
「俺の事、嫌いなわけじゃないならチャンスくれよ…」
「んんっ!〜〜〜っ」
気づいた時には唇が触れていた。
大洪水でした。
聖司 さん 2023年3月30日