電車の中は快感の入口 (Page 3)
軽く触れただけなのに、ぐちゃっという音が聞こえる気がする。
「だいぶ濡れてますね?…俺だって…触りたかったんですよ、あなたに…ずっと」
耳と感覚が彼に集中してしまい、周りに大勢人が居るのに、まるで二人だけの空間かのように錯覚し始める。
(やばい…声、出ちゃう…)
「こ、れ以上は…だ、め…です…」
彼の手を静止しようとした所で職場の最寄り駅をアナウンスされ、周りの喧騒に我に帰った。
それを察した彼の手が離れる。
「ここの駅で降りるんですよね?…ここ降りたら、ウエスト見てくださいね」
電車のドアが開くと、段々と彼の声が遠くなっていく。
(あ、降りなきゃ!!)
少しの間呆気に取られて、急いで電車を降りた。
ドアが締まる直前に降りたが、彼に話しかけられた事実に暫くはそこから動けずに居た。
彼も降りたのか、私から離れただけなのかは定かじゃないけど…。
スカートのウエスト部分に手を伸ばすと紙が挟まっていた。
中には連絡先が書かれていた。
Fin.
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