姉妹の契り
私と妹の契(ちぎり)は貴族の血を引く家庭に生まれた。自由な性格をしており、外で二人で暮らすことを夢見ていた契に私は秘かに思いを寄せていたが、女であるという理由で権力のある男と結婚をさせられることになった。これは、互いの思いを告げ交わった夜の話。
私は貴族の娘として生まれ、育てられてきた。
品性を持ちなさい、習い事をしなさい、男に尽くしなさい。
そのような“高貴な貴族の妻”になるべくして育てられた。
けれど、そのような暮らしはとても息苦しいものであった。
そのうち、私自身は思うようになった。
(ああ、男はそういった女しか愛してくれないんだな)
そんな私には一人の妹がいた。名前は契。
彼女はいつも私のことを「お姉さま」と呼び慕ってくれた。
…というのはあくまで表向きの彼女で、本当は私に別の感情を抱いていた。
ある日、テーブルマナーの習い事の最中だった。先生が席を外した時に、彼女は突然言った。
「姉さま、――逃げちゃいません?」
契はにこにことほほ笑んで、机の上に座って、そう言った。
「逃げる?」
「そう、こんなお屋敷逃げ出して、自由に暮らしたいと思わない?私、本や絵の中の自由に生きる人たちにずーっと、憧れてたの」
「できたらいいけどね…」
「ねぇ、姉さま。私、男のことが嫌い。だって私たちのこと、道具としてしか見てないから。でもね、姉さまは好きだよ。だって、私のこと、“わたし”として見てくれるのは、姉さまだけだから」
私は自分の本心を告げることはできなかったけれど。契の夢に、その言葉に、禁忌と知りながらも、惹かれていった。
*****
そうして歳を取っていって、私たちを取り巻く現実はより生々しいものとなった。
ある日、私のもとにもついに結婚の話がやってきた。相手は、この屋敷から遥か遠くに住まう、地方の有力な貴族の男だった。
*****
「姉さま…ついに、決まってしまったんですか?」
夜、契は私の部屋を訪ねてきて、そう言った。
縁談の話はまだ私と親と相手のみの話だったので、妹がこのことを知っていることに驚いた。
「わかりますよ、あの人たちの様子を見てれば。気持ち悪いくらいうれしそうだった」
「さすが、契ね」
妹は私に詰め寄ってくると、ぽろぽろと涙を流しながらこう言った。
「姉さま、私は本気ですよ?あの日言った“二人で出ていきたい”という言葉。そして、姉さまが好きだという言葉も。姉さま、私のこと、好きですか?」
彼女は私の胸元を涙で濡らしながらそう言った。
私は、彼女の思いを受けいれるように、そっと抱きしめた。
*****
禁断の愛にドキドキ
妹と姉の許されざる行為にどきっとしちゃいました…♡
匿名 さん 2021年9月27日