垂れ目の彼は、カワイイ年下クン (Page 3)
「俺が初めてオーディション受けに行った日、何持ってけばいいのか分かんなくて俺、大荷物だったんだよね」
なに、よ…ソレ。
彼が一体何の話をし始めたのか、全く分からなかった。
「エレベーター乗ろうとしたけど間に合わなくって、仕方なく事務所のビルの階段駆け上がってたらこけちゃってさあ、バッグの中身ぜーんぶぶちまけちゃって鏡も割れて、もうダメだなって落ち込んでたとこに来たのが結衣さんだったんだよ」
オーディション。
階段。
何を言われてるのかやっぱり分からない。
激しすぎた快感で頭がちっとも回らなくて。
「急いでんでしょーってひょいひょい荷物片っ端から拾って俺のバッグに詰め込んで、割れた鏡も捨てといたげるからって全部拾い集めてくれてさ。おかげであの日のオーディション、間に合ったし受かったんだ。そっからだよ、俺が役をもらえるようになったの。後で気づいたけど、結衣さんが最後に拾ってくれた書類に血がついててさ。俺どこも怪我してなかったから、すげえびびった」
唇にじわっと指が入ってくる。舌を押してからかうようにくすぐってくる彼が何で笑ってるのか…分からない。
「オーディション終わってすぐに探したけどどこにもいなくて、怪我させちゃったお詫びしようってずっと思ってたのに、クラブで再会した時は結衣さん、全然俺のこと覚えてないんだもん」
思い出した。
アシスタントで行った撮影スタジオ付きのビルで、怪我したことを。
泣きそうな顔で階段で転んでた男の子を助けてあげて、拾った鏡の破片で手を切ったんだった。
結局その日は撮影アシスタントを代わってもらうことになって、すぐに本社に戻ってしまったから男の子がどうなったかも知らなかった。
まさかあの時の彼だったなんて。
「お詫び、させてよ」
「あっ!」
ガバッと覆い被さってきた彼にキスされ、膝裏を持ち上げられる。開かれた狭間に彼のものが押しつけられ、ずぶりと一気に入り込まれていく。
熱い…。
最高でした…
作者ファンです。男の子の気遣いが素敵で心情描写も多くお話に入り込んで終始ドキドキしてました。
次のお話を楽しみにしています。
りゅな さん 2021年6月16日