今日、終電逃しました (Page 3)

主人のご機嫌を伺う犬のように、おれの顎の汗を舐める。

手を下に滑らせた。

ちゃぽんとお湯の跳ねる音。

細くなめらかなウエストをなぞる。

莉子が腕の中で身じろぐ。

一度お伺いを立てるため、恥部の端を通り過ぎ太ももを撫でる。

……触れてもいいですか。耳を食む。

「ぁ……っん」

許可をいただけたのかどうかはわからないが、拒否ではなさそう。そう受け取ってもいいかな。

いいや、おれが莉子に触りたいな。

内股からじわじわ手をスライドさせる。

親指が恥部に触った。手のひら全体で包み、ぷにぷにとした陰唇の感触を楽しむ。

十分に堪能したあと、指を割れ目の間に滑り込ませる。

クリトリスをつんと突くと、莉子の肩がぴょんと跳ねた。

そのまま指の腹で撫でさする。指先で挟んでクリクリとこねてみたが、莉子の眉間にきゅっと皺が寄る。

「痛い？」

お湯に浸かっているせいで、秘部が十分に潤わず、摩擦で痛いかもしれない。問うてみたが、莉子は返事どころではなさそうだ。

「莉子、ここ。座って」

後ろから莉子を抱え、よいしょとバスタブの縁に座らせる。

「舌でやる方が痛くないかも」

「……うん」

莉子の顔が紅潮する。これはお湯の温度だけのせいではない、でしょ。

肩に莉子の手がかかる。下から彼女を見上げる。期待に興奮していることがその瞳からわかった。

目は離さないまま舌を出して、ゆっくり彼女の花園に口を近づける。

「あぁッ！！」

莉子の足の指がきゅっと丸まり、太ももあたりに力が入る。

バスタブから落ちてしまわないように、莉子の腰や背中にまで手を伸ばす。花弁にべったりと口をつけたまま、触手のように舌を伸ばして、蜜部をくるりと一周する。

ぺろぺろと舌を使い、隅々まで綺麗に舐める。

愛液が垂れてくれば、余さず舐めとった。

「あっ、あっ……んんぅ」

莉子の発する嬌声がバスルームで反響する。

なんでおれ、こんなことしてんだ？と理性の片隅で疑問に思う。けれど、今この状況で興奮に犯されていないヤツなどここにはいなかった。

舌をうねらせる。舐め上げるたび、花弁の奥の口がヒクヒクとヒクつくのが舌に伝わった。

蜜も、もう舐めとれないほど溢れている。

「ねぇ、入れてい？」

「ん……」

狭いバスルームの壁に手をつかせて、こちらに尻を突き出させる。

覆い被さるように身体を重ね、本能のままに奥を突いた。

ぱちゅぱちゅ、くちゅ。

ねっとりと絡みつく音が頭で響く。

「は、ぁ……やば、腰。とまんない」

ちら、と莉子を見る。

ガクガクと脚が震えて、立っているのもやっとのようだ。

くぐもったうめき声のような音が耳に届く。

右手で胸辺りを抱え、左で莉子の唇を触る。

やっぱり、唇を噛んで声を殺していたようだ。

固く閉じていた唇に指を割り込ませると、隙間から微かな喘ぎ声が漏れ出した。

「ぁ……あ……ッ、ゃ…あぁ」

きゅっと締め付けられる。

「んッ……！出そう、莉子ッ」

莉子が壁に付いていた手を離し、おれの手と指を絡める。

「出して、イッて……いいよ…ぉ」

どくんと胸まで締め付けられ、熱いものが陰茎に込み上げる。

出る、そのとき。とうとう立っていられなくなった莉子が膝から崩れてしまった。

抜けた拍子に、ペニスから白濁した液体が飛び散る。

へたり込んだ莉子の背中やなにやらかにまで、精液がべたべたとかかってしまった。

「ぇあッ、ごめ」

おれも屈んで、風呂のお湯を掬い莉子の背中にかける。

顔までびしょびしょにして、莉子はおれの方を振り返った。

「あ、明日も、終電逃します」

湯気が濃いので、表情が読めない。

「は、はい」

ごきゅ。おれは何を期待したのか、やけに生々しく生唾が喉を落ちた。またお湯が濁る。

Fin.