不倫相手と別れた夜に出会った、優しい青年。名も知らぬ人との心癒やされる一夜。 (Page 3)

胸の先端に彼の唇が触れた瞬間、私は短く声をあげていた。

「あっ!」

嘘みたい、乳首にキスされただけでこんなに感じるなんて。

彼の指先がわずかに触れるだけで息が乱れる。

唇が触れると、全身が大きく跳ねる。

「素敵だ。本当にきれいだよ」

耳元でささやかれる言葉にさえ、ふるえてしまう。

そして彼は私の両脚を大きく開かせ、ためらうことなくそこにキスをした。

「あっ、ああ、だめ、そこ……ああ、ああっ!」

甲高い悲鳴のような声が出る。

こんなのは初めてだ。

自分で自分が信じられない。

「嬉しいな。もっと感じて。もっと気持ちよくなって」

「ああっ!や、あ、あーっ!」

彼の言葉どおり、私はそのままめくるめく絶頂に駆け上った。

「イったんだね。可愛いな」

彼の熱く昂るものが、濡れそぼる私のそこに押し当てられた。

それだけでまた、体の奥がきゅっと締まるようだ。

「今度はふたりで一緒に気持ちよくなろう」

熱く張りつめたものが、ゆっくりと私の中に入ってくる。

熱く、激しく脈動している。

まるで彼の命そのものみたいに。

私はその熱に、内側から焼き尽くされてしまう。

「ああ、あ、もう……もう、私……っ!」

「ぼくも――っ!」

そうやって私たちは、何度も愛し合った。

互いの本当の名前すら、知らないままに。

ふと目が覚めると、カーテンの隙間から白っぽい朝の光が差し込んでいた。

くしゃくしゃになったシーツの上に手を伸ばしても、触れるものはない。

『ごめんなさい。よく眠っていたから、起こさずに行きます。ここの会計は済ませておくから、撫子さんはゆっくり休んでね』

ベッドサイドに置かれた短い手紙。

その文字だけは少しへたくそで、いかにもスマホやパソコンの入力に慣れて、手で文字を書くのが苦手なイマドキの若い男の子らしかった。

『もしもまたぼくに逢いたいと思ってくれたら、またいつでもあのお店に来てください。今度はトディ以外のカクテルもごちそうしたいな  一郎』

ホテル備え付けの便せんに書かれた手紙を、私は何度も読み返した。

そう……きっとまた、会える。

彼は言った。

本当に誰かを好きになった、自分自身まで否定しないで、と。

今もまだ、別れたあの人のことを考えると、心のあちこちがずきずきとうずくように痛いけれど。

「そうね。……また、恋をしてみようかな」

今度はもう少し幸せな恋を探してみようか。

そしてもしもまた失敗して傷ついたら、あのお店に行ってみよう。

私に一晩だけの名前をくれた彼が待つ、あの小さなお店へ。

また彼に話を聞いてもらおう。

「私、また失敗しちゃった。でも本当にあの人のことが好きだったのよ」

と。

きっと彼はまた、優しく微笑みながら、おいしいカクテルを教えてくれるに違いない。

Fin.

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