甘い罠のトリコ
いつもは会う度に身体を重ねていたのに、何もしてこない彼。不安な気持ちに押し潰されそうになっていた。『触れてほしい…』恥ずかしいさに負けずに本音を伝えたら、私から求めてくれるのを待っていた彼の罠だった。焦らされた分だけ甘い夜を…。
「じゃあ、おやすみ」
あっけらかんと言い放たれた。
『ねぇ…私、何かしちゃった?』
なんだか切ない…。
思えばもうかれこれ二週間も触れられていない。
今までなら会うと必ず体を重ね合っていた。
それが理由もわからず突然距離を置かれて。
心当たりも何もない…。
「何でもない。ちょっと最近疲れてて」
そう言ってやんわりと微笑むと、私に背を向けるように寝返った。
なんで…どうして?
たまらなくなって、背後から抱きついた。
「柚乃?どうした?」
『お願いだから、嫌いにならないで…』
「嫌いとかじゃなくて。疲れてるだけだって」
今もまだ背を向けたままこっちを見てもくれない。
『じゃあ、私のこと…好き?』
「当たり前だろ」
『それならどうして何もシてくれないの…?』
「何?欲求不満?そんなに俺に触られたいの?」
『触られたいに…決まってるじゃない…///』
言葉にすると恥ずかしいけれど、これが私の正直な気持ちだ。
「そっか。そんなに俺とエッチなことしたかったんだ」
寝返りを打って私の方を見る凪の眼差しはなんだか妖艶で、心臓がトクンと高鳴った。
「柚乃がそれ言ってくれるのずっと待ってたんだけど」
『え…?』
「焦らしプレイって言うの?柚乃が俺のことを欲しくて欲しくてどうしようもなくなるまで焦らしてみようと思ってさ。まさか二週間もお預け食らうと思ってなかったけど」
『凪が欲しいよ…ずっとシてほしかった…』
焦らさせた時間の分だけ、甘ったるいキスを何度も繰り返した。
離れては触れ、触れては離れ、甘く、優しく、互いの身も心も溶かしていくように…。
『っふ…ん…っ』
「そんなにシたかったんなんて。仕方ない子。今日は朝までシないとな」
『朝まで!?』
「当たり前じゃん。シたかったんだろ?俺だって柚乃が言ってくれないせいで二週間分溜まってるんだから。この罪は重いよ」
そい言うと私をぎゅっと抱き締めた。
私より大きな凪の体に包まれると、どうしてこんなにも安心するんだろう。
この温もり、凪の香り、伝わってくる優しい心臓の鼓動、このすべてが愛おしい。
「早く素直になればいつでもシてたのに。こんなに我慢するなんて」
微笑みながら私の髪を優しく撫でた。
『女から誘うなんて、なんか盛ってるみたいで恥ずかしくて…』
「盛ればいいのに。いつでも応える自信しかないけど?」
耳元でイヤらしく囁かれ、私の身体中の熱が一気にグンと上がった気がした。
欲しい、凪が欲しい…。
我慢ができなくなって、ギュッと抱きしめながら、もう一度私から唇を重ねた。
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