夜の海辺で彼氏と…
彼氏や仲のいい友達数人と海に旅行に来ていた千夏。はしゃぎつかれたのか友人たちは早々に寝付いちゃったけれど、千夏はなかなか寝付けず海辺を散歩することに。海辺に来ると彼氏の誠一も散歩していて…。寝付けない夜、友達には話せない夜の出来事。
気が付けばそろそろ学生時代最後の夏休みが始まろうとしていた。4年長かったようなあっという間だったような。就活の息抜きと学生時代最後の記念ということで旅行しようということになった。ゼミでそんなことを話し合っていると、彼氏の誠一達も行くと言い出し、最終的に男女3人づつの6人で旅行に行くとこに。
「やっぱあれだよね、山より海?」
「いや、正直紫外線直撃で海はちょっと。そもそも旅行に新しい水着とかあれやこれや出費がかさむのもなぁ」
「んー、泳げないけれど海があって、温泉がある旅館とかどうよ」
最高の妥協案が出たので、海の近くの旅館で温泉があるところということになった。それから各々あちこちで探したところ、1つだけ予算と条件の合うところが見つかり、さっそく2部屋で予約した。
*****
天気にも恵まれ、人気のパワスポとか回ったり、温泉街で名物を食べたりしてはしゃいだ。そうはしゃぎすぎた。夕食も終わり温泉で体も温まったからか眠たそうにしていた友達は、布団に入るとともにおしゃべりもそこそこに寝落ち。私はというと逆に目が冴えてしまい、海辺を散歩することにした。私と同じこと考える人がいたのか、誰かが歩いていた。私に気が付いたのかその人が振り返る。
「千夏?危ないよこんな夜中に、そんな薄着で」
「誠一…。なんか、眠れないから散歩でもしようかなって」
「ははっ、俺も俺も。夜はやっぱ涼しいな」
少し先を歩く誠一の大きな手に指を絡めたら愛おし気に目を細められ、胸がきゅっとした。しばらく手を繋いで歩いて、ビーチベッドに座る。思ったほど星は見えないけれど、月が綺麗だった。ふっと影が差し、誠一が私の顔を覗き込んだ。
「キスしてもいい?」
返事はしないで、ゆっくり瞼を閉じた。唇に触れた熱が離れたと思ったのもつかの間、隙間から舌を差し込まれ、びっくりして目を開ける。
「んっ!まっ…んーー!」
抗議の意味合いで誠一の胸を強く押すけど、精一杯の抵抗もほぼ無意味で手をくるむように握られる。咥内のいいところばかりをさんざんいじめ倒し、やっと解放された。
「待ってって言ったのに、ばか…」
「千夏はかわいいな。いやだった?だめだった?」
「い、いやじゃないし、だめじゃないけど…。その急なのは…」
よくよく考えると今まで何回だってしてきたし、予告するのも変な話だと思ってだんだん抗議の声も小さくなる。結局言いあぐねて途中で口を閉じてしまった。その様子に少し笑って、潮風で頬に掛かる髪を耳に掛けられる。再び唇が触れた。
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