雨よりも激しく愛して
ほっとくとろくなもの食べない彼氏の朝日奈と半同棲している千鳥。ある日『うちの別荘一緒に来る?』と朝日奈に誘われて…。日帰りのつもりが、大雨で電車が止まりまさかの別荘に一泊。いつもとは違うシチュエーションで激しく愛されちゃう!
「ただいまー、今日の飯は何ですか、千鳥」
「おかえり、朝日奈。今日のご飯は朝日奈が好きなハンバーグです」
大学の頃から付き合っている朝日奈とは週に3日か4日は一緒にご飯を食べている。というのも、私は大学の時から一人暮らしだったけれど朝日奈は学生寮暮らしだった。料理ができないわけではないのだけれど、自分のためだけに作るのもなあと面倒がった結果
ゼリー飲料とコンビニのお弁当しか食べてないみたいな…
疲れてもう動けないみたいな時は時々買ったりするけれど、毎食それもどうなのよ?とさすがに心配になり
「朝日奈、週の半分はうちでご飯食べること!一人分も二人分も変わらないし、そんな食生活とか心配!」
私に押し切られる形で週の半分はうちに来ることになった。ちなみに週の半分なのは飲み会とか付き合いとか朝日奈には朝日奈の都合がある様に、私には私の都合があるからだ。今のところそれでうまくいっている。
私の作ったハンバーグをおいしそうに食べる朝日奈は可愛い。私が作るからっていって後片付けしてくれるのポイント高いわ。半同棲じゃなくて同棲のほうが効率いいだろうな。どっちの家も二人暮らしには手狭だけど。
「千鳥、連休なんかどうしてもしたいことある?」
「んー、お天気よかったらお布団干そうかなぐらい?」
「あのさぁ、俺んち海辺に別荘あるんだけど、今度売るから一度見てきてって言われてて。千鳥さえよかったら、うちの別荘一緒に来る?割と近いから日帰りだけど」
連休中どうしてもしたいことも特になければ、予定らしい予定もないので断る理由はなかった。
「うん、一緒に行っていいなら」
「よかったぁ。正直一人じゃ味気ないし、千鳥と一緒に行きたかったんだ」
ほっとしたように朝日奈が笑う。最初からそう言ってくれればいいのに、変なところで不器用だね。
*****
朝日奈と出かける当日、朝は快晴だったのだ。別荘について30分ぐらいで雲行きがみるみる怪しくなり、大粒の雨が降り出した。
ぼんやりとニュースを見ていると、食料買ってくるといって出かけた朝日奈が帰ってきた。レインコートを着てたのに関わらず、前髪から水滴が滴っている。
「いやー、レインコートあってよかったぁ。海しぶきやべぇし、スーパー微妙に遠いんだよなぁ」
「お疲れ様。お風呂掃除しといたからお湯沸かしたよ」
なんかしばらく来てないって言ってたけど、電気もガスも水道もちゃんと通っててよかった。管理会社の人が管理はしっかりしてくれていたらしい。
朝日奈がテレビに目をやる。
『この大雨で交通はマヒしており、現在運休している列車の復旧の見通しは立たず今後も混乱が予想されます』
まさか電車が止まる大雨が降るなんて誰が予想してたんだろう…。昨日の時点ではお天気キャスターが連休は快晴って言ってたのに。
「今日中は帰れないね、これは…」
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