憧れていた先輩と再会して最初で最後の一夜

・作

仕事帰りに寄ったドラッグストアで高校の時憧れていた先輩と再会。思い出話で盛り上がるが、明日先輩は地方へ転勤するという。もう会えないの一言に思いがあふれだす。憧れだった先輩との最初で最後のワンナイトラブ。

仕事が終わり、シャンプーが切れかかっていたのを思い出した。ドラッグストアに寄っていつも使っているシャンプーの詰め替え用をかごに入れ、お菓子も少し見ようとお菓子コーナーに向かおうとしたとき。

「柏木か?」

と声をかけられ振り向いた。

「えっ、相沢先輩?うわー、お久しぶりです!お元気でしたか?!」

「おう。柏木も元気だったか?」

「はい!」

高校の時憧れていた相沢先輩と七年ぶりに再会した。
先輩は私の一つ上で委員会が一緒だった。もともと面倒見のいい先輩で明るく気さく。先輩の周りにはいつも人が集まっていた。その中の一人にすぎなかった私を覚えてくれていた、というのは純粋に嬉しい。

「柏木は仕事の帰りか?」

「はい、そうです。先輩もですか?」

「まあ、うん、そんなところ。…柏木、これから時間があるなら食事とかどうかな?あ、嫌ならいいんだけど」

「いいんですか?私は全然かまわないですけど…」

じゃあ決まりと先輩は笑って、私が会計してる間外で待っててくれた。先輩と歩きながら店を決め、よくある個室風の居酒屋で思い出話が盛り上がった。今まで忘れていたのに、次から次へと懐かしくなりつつあった思い出があふれ出す。

「そういえば、あの時は先輩彼女いませんでした?」

「彼女とは大学で離れて結局別れて、その後も二人ぐらいいたけど今はいない。柏木は?」

「二年付き合った彼氏と彼の浮気が原因で先月別れて、今はフリーです」

そんな簡単な近況をは話していると先輩が

「実は明日から地方の支社に転勤が決まってな。最低でも二年。もう会えないな…」

と言うので、魔が差したというか口が滑ったというか。

「先輩、今日最後の思い出作りませんか?」

「…そう言う意味でとって構わないってことだよな」

「はい」

緊張で声がかすかにふるえていたし、手も少し震えていた。先輩は私の手に手を重ねた。震えが止まる。先輩の瞳をじっと見返す。

「もう部屋引き払って、今日はホテルに泊まるから」

「はい…」

先輩が私に口づける。もう止まれない。この気持ちも私も先輩も。

*****

駅前のシティホテルのツインルーム。先にシャワーを浴びた私はベッドに座ってゆっくり深呼吸した。落ち着かなくてバスローブの端をぎゅっと握った。今は先輩がシャワーを浴びている。緊張で鼓動が耳元でなってるかのようだった。シャワーの音がやみ、少しして先輩が出てくる。

「柏木…」

「今は名前で呼んでください」

「紫、いいか?」

「はい」

先輩とキスをしながら柔らかいベッドに倒れこんだ。

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