お嬢様は執事の愛撫にとろける
名家に生まれた令嬢の怜奈。最近頻繁に持ち込まれる縁談に疲れ気味。二歳年上の執事の壮馬に疲れの取り方を聞くと、これが一番効果的ですと押し倒されて…。ちょっと、待って、こんな快感知らない。執事とお嬢様の秘密の夜が始まる…
旧華族の流れをくむ名家に生まれたことは恵まれたことだと思う。だけど、自由恋愛だとか普通のことが自由に出来ないのは息苦しい。
家に帰るなり、自室の机に積み上げられた見合い写真に大きなため息を吐く。会うだけでもと言われて、しぶしぶ会った人もいるけど、合わなかった。そもそも趣味も合わなければ、話も合わない。ずっと愛想笑いをしていたせいか、ずっとほほのあたりがけいれんしていた気がする。
「お父様も懲りないわね。せめてもう少し年が近ければね…」
何故かお父様が持ち込む縁談は、どれもこれも一回り以上年上の方ばかりだ。
「壮馬、壮馬」
「何か御用ですか、怜奈様」
ティーセットを取りに行っていたのか、ティーポットとティーカップの載ったトレイを持った壮馬が部屋のドアの前に立っていた。私の二つ年上の執事の壮馬は呼ぶと大体すぐ来てくれる。
「適当な大きさの箱持ってきてくれる?大きさはこの写真が入るぐらいでいいわ。なるべく深い物ね」
「承りました。怜奈様のお好きなダージリンのセカンドフラッシュをご用意いたしました。スコーンは今日の力作と申しておりましたので、冷めないうちにお召し上がりください」
スッと頭を下げ部屋を出ていく壮馬。箱を取りに行ったのだろう。気は進まないが見ないわけにはいかない。仕方なく一つ手に取り開いた。
*****
「疲れた…、もう何も考えたくない」
夜も更け、壮馬が用意してくれたハーブティーを飲む。リラックス効果の高いハーブティーと言っていたが、気休め程度にしかならないだろう。最近は秘書の仕事も始めた壮馬はいつもカッチリとスーツを着ている。壮馬は疲れないのだろうか。
「壮馬はストレス発散とか疲労回復にいいもの知らない?」
「一般的に言われてるのは軽い運動や睡眠ですね。カラオケなんかもいいそうですが、怜奈様は騒がしい所は不得手なので向いてないかと思います」
軽い運動も睡眠も十分だと思っている。壮馬の顔には疲労も一切のぞかせてはいない。それはプロ意識のなせる業か、もしくは特別な疲労回復法でもあるのかな。
「壮馬はどうやって疲労回復してるの?教えて」
「軽い運動ぐらいですね。ですが、これが一番効果的です」
視界が反転した。うっすらと微笑を浮かべる壮馬が唇を寄せた。酸素を奪うような長いキスになんとか息を吸おうと薄く唇を開くと、熱い舌が差し込まれる。逃げ惑う舌を絡められ、シーツに両手をぬいとめられる。
「効果的な疲労回復の方法教えて差し上げます」
抵抗する間もなく再開されたキスにめまいがした。一瞬唇を離し、グッとネクタイを荒く解いた壮馬はいつもの執事の顔ではなく男の人の顔をしていた。
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