下級淫魔はえっちな修行中
淫魔は人間の精気を吸い取る魔物。しかしここに、敏感な体のせいで自分ばかりが先にイってしまいいっこうに精気を集めることができない、失敗ばかりの淫魔の少女がいました。そんな彼女に興味を持った上級淫魔が気まぐれに声をかけたのは…?
「あああああんいっちゃうううう」
びちゃびちゃびちゃとつながったところから淫靡な音がして、それだけであたしはもう達してしまった。
*****
今日の獲物であったはずの男は「まだなにもしてないんですけど」という顔であたしを見上げている。
ああなんて恥ずかしい。お役目失敗。大失敗だ。
あたしはサキュバス。妖艶な乙女の魔物だ。
人間のオスから精液を搾り取ってそのエネルギーを自分の生きる力に変える。
さらに出世のために精気が内包するエネルギーを上位の存在に献上する。
そのために奔走する下っ端淫魔だ。
ところがあたしときたら感じやすい身体があだになって、男の身体を見ただけでももうジュンジュンしてくるし、連中のブツを挿入してちょっと動いただけであっという間にイッちゃう。
精液を搾り取るどころか一滴もいただけず、相手にご奉仕して退散するのが落ち。
「ま、まあまた今度。良かったぜ。サキュバスちゃん」
となじみのオスには慰められる始末。
ああこの敏感な身体が、股が、憎い。
こんなあたしだから下っ端淫魔の中でも底辺で、淫魔たちの居城に帰れば待っているのはお部屋のお掃除に庭の草むしり。
聞けば上級淫魔となれば一夜のうちに何人もの男をミイラにして、さらに下級淫魔たちから献上されたオスのエネルギーを受けつやつやと美しく光り輝いているという。
永遠に美しく男たちを食らうなんて、なんて羨ましい。
あたしときたらそろそろ干からびて朽ちてしまいそうだ。
土で汚れた手を手拭いで拭いて草を払っていると「おや」と頭の上から涼やかな声がした。
見上げるとそこには妙なる美しさの上級淫魔がいた。
長い銀の髪に、光沢のある滑らかな肌。長いまつ毛に整った鼻梁。薄い唇はうっすらと笑みを浮かべていて惚けて見上げる私を優しく笑っている。
知っている。
ヴェスパー様だ。
「ずいぶんとみすぼらしい子がいるものだ。この子に教えをほどこすものはいないのかい?」
「もうひどく覚えも悪くてね。あとはヒキガエルにでもなるしかない子ですよ」
ヴェスパー様のおつきのものが笑った。
「ヒキガエル……。それは哀れだ」
ヴェスパー様はそう言う。
「おいで。私が手ほどきしよう」
ヴェスパー様は私に手を伸ばしたのだった。
「ええええ???」
もうそれだけで情けないことにあたしの乳首は勃起していた。
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