職場のパパの中の獣!?
いつもはヘタレで部下の代わりに謝ってばかりの年上上司。ただ、愛嬌のある顔や気が利く性格から自分自身、父親のように慕ってました。そんな上司から突然の告白--!?そのままホテルで大人のテクニックに酔いしれちゃう!
「すみません、本当にいつも…」
「ったく、次からは気を付けてくれ給えよ」
社内ではいつものように平田課長の謝罪の声が聞こえてくる。
部下のミスをいつも謝っては解決してくれる苦労人な私の上司、平田さん。
平謝りの平田なんて社内では馬鹿にされているけれど、私はいつもあの人に失敗した時に助けてもらっていた。
「大丈夫大丈夫、謝るのが僕の仕事だから」
といつもにこにこと私にそう言って、代わりに怒られてくれることを繰り返していた。
今日、平田さんが部長に謝っているのも部下のミスのためだった。
小さくため息をついてとぼとぼと歩いてくる課長に、私は声をかけた。
「いつも私たちのために…ありがとうございます」
「ああ、気にしないでよ。それが僕の仕事だし」
そうやっていつものように部下のことを一つも責めずに笑う課長に対して、申し訳なさが強かった。
そこで、私はついに言ってみた。
「課長、愚痴を私に聞かせてください!」
「え」
課長は驚きを隠せない表情をしたが、「じゃあ、お願いしちゃおっかな」と笑った。
「早速今夜、行きましょう!」
私たちは近所の居酒屋の予約を押さえ、仕事終わりに店の前で待ち合わせをした。
*****
居酒屋は個室の部屋だった。少し遅れるから先に入っていて?という連絡がきたので、
とりあえずビールと簡単な食事を注文しておいて、私は課長が来るのを待っていた。
「ごめんね、待たせちゃって」
申し訳なさそうな表情でわたわたと課長は席に着いた。
「ありがとう、君は本当に気が利くね」
「私のことはいいから、あの部長の愚痴がありましたら!さあ!」
課長は少し困ったように微笑みながら、「誰かと話せるだけでうれしいよ」と言った。
「何かないんですか~?」
「あはは、慣れてるからねぇ。それより、君猫が好きなんだっけ」
私のスマホの待ち受け画面を課長はちらりと見て、そう言った。
「あ、うちのミィちゃんです。」
「えへへ、実は前から可愛いなぁって思ってたんだ。動画見せてほしいなぁ」
課長は「隣、移っていい?セクハラになっちゃうかなぁ」と私に聞いてくる。
私が「大丈夫ですよ。課長そういうことできなさそうですし」と笑うと、私の隣に座った。
「ミィちゃんかわいいねぇ」
課長の顔が間近に来る。
課長の長いまつげ、くっきりとしたたれ目、少しはねた毛が私の目の前にやってくる。
会社での印象が先行するためあまり話題にはならないが、課長はこう見えてかなり顔が整っており、社内の掃除のおばちゃんなどからちやほやとされている。
ぼんやりとしていると、ふと、課長の手が触れた。
「わわ、ご、ごめんね!」見れば課長の顔は真っ赤だった。
ときめいちゃいました!
パパみたいな人が時々男らしい姿を見せるのってとってもドキドキしますよね…すごいきゅんとしちゃいました!パパかわいいw
とくめい さん 2021年9月9日