禁断の恋を演じる二人は恋人同士。舞台裏では台本にないエッチなことを?! (Page 2)
「由梨花さん、舞台の外でも、あなたを愛していいですか?もし、イエスと言っていただけるのなら、あなたの手に、誓いの口づけをすることをお許しください…」
スポットライトに照らされる舞台の上で、幸秀は自分の思いを告げた。
照明担当の仲間に協力を仰いでいたのだった。
由梨花はサプライズに目を潤ませながら、大きくうなずき、幸秀にゆっくりと手を差し伸べた。
演劇の脚本よりもドラマチックな告白だった。
今のところ舞台も、由梨花との関係も順調だ。
ひとつだけ、気になることがあるとすれば。
…由梨花は舞台以外では、超・恥ずかしがり屋なのだ。
舞台の上では、どんな難しいセリフも表情も堂々とこなせる。
だが、自分とベッドの上にいるときはと言えば。
「んっ…ん…んぐっ…んんんっ!」
喘ぎ声を聞かれるのを恥ずかしがって、口が切れるんじゃないかというぐらいに唇をかみしめる。
「由梨花、気持ちいい?顔、見せてよ…」
「や…だめ…みちゃ…や」
乱れた顔を見せたくなくて、あの手この手で顔を隠そうとする。
もちろん、そうやって快楽に悶える姿を見せまいとする様子にもクるものがあるけれど。
欲を言えば、思いっきり乱れる由梨花が見たいというのも事実。
でも、必要以上に激しくするような、相手を労わることを忘れたセックスはしたくない。
幸秀は、舞台上での由梨花を思い浮かべる。
姫の気品に満ちた所作、凛とした表情。
そして、王子を見つめるときだけに表れる、恋い焦がれる女の顔。
舞踏会のシーン、互いの手を静かに重ね、王子のもう片方の手が姫の背中にそっとあてがわれたのを合図に、二人はワルツを踊り始める。
ワルツの最中には互いに何度も見つめ合うが、姫の瞳の奥には、愛欲の炎が渦巻いている。
もっと激しく愛を伝え合いたいと願う、姫の切ない思いが彼女の表情、触れている肌から痛いほどに伝わってくるのだ。
その様相は、思わず喉が鳴りそうなほどに官能的だ。
この「姫」としての顔を持った由梨花を抱いてみたい。
身にまとったドレスも、姫としての顔も全て脱ぎ捨てて、王子の愛を身に受けたいと思い焦がれる姫の願望が叶ったとき、
果たして彼女はどんな風に乱れるのだろう。
「姫」の状態なら、恥ずかしがることなく、快楽に身を委ねてくれるかもしれない。
幸秀はあることを思いつき、それが実行できる日を待っていた。
練習が終わってふたりで掃除当番をする日。
幸秀は「本番が近いから、個人的にラストシーンの練習がしたい」と由梨花を誘った。
衣装は着たまま、本番と同じように、と注文を付けて。
「ラストシーン、確かに大事だよね。もちろん付き合うよ。」
ラストシーンは、偽物の王子であることを感づかれた庭師が、兵隊に追われるところから始まる。
姫の父親…国王の怒りを買い、庭師は殺されそうになる。
それに気が付いた姫は庭師を追いかけることを決意した。
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