JKのコスプレは痴漢されやすい

・作

高校時代のセーラー服を着て朝の満員電車に乗ることが癖になってしまった社会人女性。今日は視線を感じるだけじゃなくて男の人の手が伸びてくる。顔が見えないまま、見知らぬ人に肌を直接触られてだんだんと興奮してきてしまう。

スカートの短い女子高生、スーツに身を包んだサラリーマンたちが目の前に止まった電車の中に一斉に流れ込む。

(今日も満員だ…)

この朝の通勤ラッシュの時間帯は、少しも動けないほどのすし詰め状態で駅員が無理やり押し込むようにしてドアが閉まる。

『ドアが閉まります。ご注意ください』

電車の動きだしの衝撃で体が隣のサラリーマンの体にぶつかってしまう。

マスク越しに小さな声で謝罪しながら軽く頭を下げれば、サラリーマンは視線で私の姿を上から下までなぞった後、こちらに背を向けた。

(変、だったかな…バレてないよね)

それとも女子高生の格好をしていたから、痴漢の冤罪とか疑われないように関係ないというように体を動かしたのかな。

私の最近の趣味は、仕事が休みの日に高校の頃の制服で朝の満員電車に乗ることだ。童顔で、いつも成人してるのを疑われるのが初めていい方向になった。

(知り合いに見られたら、変態って言われちゃうかも…)

少しだけ折り曲げたスカートにセーラー服で堂々と電車に乗っても、誰も怪しむことはない。

「すみません」

電車がカーブで曲がり、後ろの男性の手が私の腰にぶつかる。小さく謝罪の声が聞こえてくる。

横を向いて確認すれば、片手はつり革に捕まっている細身の男性が軽く頭を下げている。

周囲の女性の目が一斉に彼に集まる。ここで私が痴漢だと言えば、きっと彼は次の駅で降ろされて駅員さんに連れていかれるんだろう。

「だ、大丈夫です…」

でも私はこんなドキドキするスリルを求めているから、嫌どころか少しだけ興奮してしまった。

いつからか、休みの日に高校生のコスプレをして、電車に乗り込むのがやめられなくなっていた。

ガタン、とまた電車が揺れて隣や後ろの人の体が私を押しつぶすように密着する。誰かの動いた脚が私のおしりにぐり、とくい込んでくる。

「あっ……」

「大丈夫ですか?顔が赤いですけど、体調悪いですか?」

「あっ、いえ、大丈夫です…」

ニコリと笑って声をかけてくれた隣の男性に会釈をして、興奮していた自分を心配してくれたのが恥ずかしくなってそのまま床を見つめる。

(わっ、イケメンだ…)

こんな人に痴漢されたいなぁ…なんて思っていると次に着いた駅で降りていってしまった。

降りる人と乗り込む人の流れに押し込まれて、しばらく開かないドア側まで追い込まれてしまう。

(男の人ばっかりだ…)

『ドアが閉まります。ご注意ください』

車掌が次の駅の名前を告げるアナウンスを聞いて、あと3駅でいつも降りる駅だと確認する。通っていた母校の1番最寄りの駅。

同じ制服の人たちが一斉に降りるから、同じように降りてトイレで制服から着替えてそのまま帰るのがいつもの流れ。

(そういえば、同じ制服の子たち、今日はいないなぁ…)

同じ電車に乗ってる子に顔を覚えられたらどうしよう、なんて思うけど、いつもマスクをしているしきっと大丈夫だろう。

今日は少しだけドキドキできたし、イケメンにも会えたしラッキーだったかな。

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