裏切りの夜、密室で濃密絶頂
友人の結婚式の二次会。穂乃果は夫婦生活に不満を抱えていて、酔った勢いで誰かと何か起こればいいのに…と、不謹慎な願いを抱いていた。同じ考えを持った旭との再会で意気投合した二人は家で待つ者を裏切って罪深い夜を共にする。
『はぁ…』
穂乃果は鏡に映った自分を見て大きな溜息をついた。
友人の結婚式の二次会に参加したものの、独身男性と独身女性同士が盛り上がり、既婚者の穂乃果はその輪には入りづらく、まるで蚊帳の外だった。
居心地の悪さに、化粧直しと席を立ちトイレへと逃げてきた。
周りより早く結婚し、順風満帆な人生だと思っていた。
けれど、幸せな夫婦関係は長くは続かなかった。
女グセの悪い夫に、冷え切ってしまった夫婦の時間、毎日浮かぶ“離婚”の2文字。
夫の不倫の仕返しに、自分も一度の不倫くらいしてやろうかと下心を持って参加した二次会でも男性陣から相手にはされず…。
今日のために買ったパーティードレスも、美容室で施したヘアメイクも、綺麗に着飾った自分の姿が虚しく思えてきた。
もう帰ろうかな…。
そう思いトイレから出た時だった。
「穂乃果!」
『旭くん!』
同じタイミングで男性トイレから出てきた旭とばったり出会した。
二人は学生時代の同級生。
「穂乃果って結婚早かったよな。どう?結婚生活」
『どうって、普通だよ。普通。旭くんは?』
「俺も結婚した。子供も産まれて今は父親」
『へぇ、幸せそうだね』
「そうでもないよ。普通だよ、普通」
学生時代、特別仲がよかったわけでもないけれど、トイレの前で話し込む二人。
「今日の穂乃果、綺麗」
『何、急に…』
「別に、思ったこと言っただけ」
そう言うと旭は突然、穂乃果にキスをした。
『ッ!?』
驚く穂乃果に角度を変えて何度も唇を重ねる。
最初は状況を飲み込めていなかった穂乃果も、降り注ぐ甘いキスの雨に、次第に旭の首へと腕を回して受け止めた。
「ちょっとだけ悪いことシよ」
そう言うと、旭は軽々と穂乃果の身体を抱き上げ、女子トイレの中に押し込んだ。
『ひゃっ…』
短い悲鳴をあげる美恋。
『旭…くん…?』
蓋を閉じたままの便座の上に座らされた穂乃果は少し不安気に旭の顔を見上げた。
ニヤリと笑みを浮かべた旭は邪魔が入らないようにとドアの鍵をかける。
「あんま声出すなよ」
『え…まさかとは思うけど、ここで続きする気じゃないよね…?』
「ここでするけど。俺らそんなちゃんとした場所選んでするような関係じゃないし」
そう言い放つと、旭は再び穂乃果の唇を奪った。
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