悩める女神は悪魔に誘惑される (Page 2)
「で、号泣してた理由って何?キスした女の子に号泣されたの初めてなんだけど?」
温かいコーヒーを飲んで落ち着いたのを見てか、話を切り出された。あまり話していて気持ちのいい話ではない。けれど、号泣までして暴言を吐いた自覚はある。今まで誰にも話せなかった悩みを私はぽつぽつと話し始めた。
「実は、私男の人に触られるとすぐに感じちゃう超敏感体質で…。付き合った人にドン引きされて、この体質は人とは違うんだってことに気がついた。治し方も分からないし、もう神に祈り縋るしか。そんなことを祈りながら神の前でキスとか…」
「うん、まあ、それは悪かったよ。そんな思い悩むようなことでもないだろ、敏感体質なんて男からしたら女神だぞ?男冥利に尽きるねー」
「元カレが真面目で堅いところのある人だったから、私が淫らに見えたんでしょ」
何か言おうとして彼は口を閉じてしまった。何を言いかけたんだろ。表情から何を言おうとしてたかは分からない。
「名前は?」
そこでまだ名前も言ってないことを思い出した。
「御崎、御崎まりあ。英文科の3年」
「俺はクロでいい。名前好きじゃないし。院生で24歳」
大学院と大学は同じところにあるけど、使う棟が違うから会う機会は少ない。偶に図書館の院生専用のブースで見かけるぐらいだ。思わずまじまじと顔を見てしまった。
「まりあ、ね。鈍くなりたいみたいだけど、敏感体質の良さってやつあるよ」
そういわれ、後頭部を固定され上を向かされると同時にまたキスをされる。教会でされたキスよりもっと深いキスだった。酸素を取り込もうと薄く開いた唇からしたが入り込む。息すら飲み込むようなキスに、きゅっとクロさんの服を握る。舌をこすり合わせるように絡められて体の芯が熱くなる。
とろっと体の内側から蜜がこぼれるのを感じ、押しのけようとすると床に押し倒された。頭上で両手を易々と片手で拘束される。
「あっ、んっ、はぁっ、ま、待って、んんっ…」
「床は嫌って?仕方ないお姫様だなぁ」
「違う、そうじゃなくて、待ってって。…きゃあっ」
膝裏に腕を回されて抱き上げられた。抱き上げ方は割と雑だったのに関わらず、思ったよりずっと丁寧にベッドに下ろされた。カットソーの裾から手が入り込み、そっと撫でられただけでぞくぞくと快感が背筋を駆け抜ける。
「ほんとに、まって…」
「待って、待っていう割に嫌だとは言わないな。それとも、初めて?嫌も言えない位戸惑ってるとか?」
ウェストを撫でていた手が止まる。戸惑っているのは確かだけど嫌と言えないほどでもなく
「初めてだけど、嫌ってことも…」
少し自棄になっていた。この際救ってくれるなら神でも悪魔でも構わないと。
「もうやめないから」
その言葉と共に首までカットソーをめくり上げられた。
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