彼氏に内緒の事情がありまして
女子大生の小雪には彼氏には言ってないことがある。実は、母乳が出る特別な体質であるということ。元カレに誤解されてフラれたことがありなかなか言えない。もう少し関係を進めたいという思いもあり、いつまでも隠していられない。思い切って打ち明けたら反応が思ってたのと違って…
付き合って、そろそろ3ヶ月。彼氏の風斗くんとは大学3年に進級して入ったゼミで知り合った。付き合うまでのの紆余曲折は割愛するが、普通のカップルの順調な仲だ。まだ、キスまでの清い関係だけど。清い関係を続けているのにもわけがある。
理由:出産経験がないのに母乳が出る
という体質だ。初めて母乳が出たのは17の時。びっくりして、即病院に掛かったところ医者に言われたのは
「体質です」
の一言だった。血液検査だとか色々したが病気とかではないと。今は日常生活に支障が出るぐらい出るときは処方された薬を飲んでいる。女子校だったのもあり、問題もそこまでなかった。
ところが半年ほど前に初めてできた彼氏とそんな雰囲気になり、胸を軽く揉まれた瞬間母乳が胸を伝った。
「お前、子供とかいたのかよ!」
「いないよ!知ってるじゃん!体質なの!」
「じゃあ、前の時になんかあったんだろ!子供がいるわけでもねぇのにおかしい!」
何をどう言っても聞く耳を持たない感じでフラれた。男って女の子のに対する理解が浅いところがある。結構かなりショックだった。
よく考えたらそれぐらいでキレる彼氏が短気過ぎない?この体質じゃなくてもそう遠くないうちに衝突して別れてただろう。
でもそんなこともあり、関係を進めたいとも思ってるけどためらっている。でもいつまでも隠しきれるはずがないし、もたもたしてるうちにフラれたらもう立ち直れない。本当は出来れば隠しておきたかったけれど、覚悟を決めることにした。
*****
今日はたまたま風斗くんの家でレンタルDVDの鑑賞会をしようということになって、2人でレンタルショップで映画のDVDをいくつか借りた。洋画の割と終盤に濃いめのラブシーンが始まる映画で、エンドロールで気まずい沈黙。
「小雪、俺は待て出来るって言ったよ。そりゃまだ学生だけど成人だってしてるし、なんの責任も取れないほどガキじゃないつもりだけど。まだよしはもらえないの?」
遠回しな誘い文句に、私はおずおずと口を開いた。
「風斗くん、あのえっと、引くかもしれないけど…、私ね実は母乳が出る体質なの。出産経験があるとかじゃなくて、そういう体質で。前にそれでフラれて言いづらくて…」
風斗くんは何も言わない。引かれたかと思っておずおずと顔を上げる。
「え?それだけ?ビビったぁ、なんかとんでもない秘密出てくるかと思ったじゃん」
あっけらかんとそう言われ、思った反応とは全然違ってこっちが驚いてしまう。それだけみたいな軽い受け取り方されるなんて思ってなかったから、拍子抜けした。
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