欲求不満の私を満たしてくれたのは (Page 6)
「どの辺がゆっくりよ。後半スピード展開だったじゃん」
「蛸壺の上の数の子天井とか、気持ち良すぎて挿れた瞬間にイクかと思ったわ。でも和華も気持ちよかったろ?」
「そうだけどさ…」
うまいよの言葉に嘘はなく、前の彼氏よりずっと優しくて良くてうまかったけど。幼馴染と関係を持ったことが気恥ずかしいような気まずいような。後悔してるわけでもないし、襲われたわけでもない。キスの時点で抵抗しなかったあたり、合意だ。
「何してんの?」
小さな紙片をじっと見ている貴斗を見る。
「んー、説明書見てる。水洗い出来るのか、えーっと洗う際は電池を抜いて水またはぬるま湯であらい、洗った後はタオル等で優しく拭くと。丸洗いは不可で、スイッチ部分と持ち手はダメと」
水洗い出来ることも知らなかった。まあ、丸洗いは出来ないか。
「起きれそうならシーツも洗っとこう」
「お風呂一緒に入らない?と言ってもお湯張ってないからシャワーだけど」
貴斗の手からはらりと説明書が落ちた。ぽかんとした顔をして、少し間をおいてじわっと頬が赤く染まる。
「え、よろこ「嘘だよー。シーツは手洗いもするからスペースに空きがないなぁ」
テーブルクロス引きのようにベッドから回収して体に纏う。さすがに1階のお風呂場まで裸はなぁ。階段には大き目の窓がある。すりガラスでブラインドがかかっているとはいえ、さすがにね。気分的な問題で。
「俺の純情を弄んで!」
「あら、人聞きが悪い。長い付き合いの幼馴染へのちょっとしたいたずらと冗談じゃない」
「こらっ、和華!」
ぐっと腕を引かれ、抱き寄せられ驚いているうちに膝裏に手を回され横抱きにされた。
「お、おろして。シャワー浴びるんだから」
「俺がシーツも手洗いしとくから、お前はこれから俺とシャワーな。あんまり暴れると落ちるよ。支えてる部分が少ない分バランスが大事だから」
それは理解できるので私はおとなしく力を抜いた。貴斗は下ろす気はなさそうだし、無理やり下りると二人してバランスを崩す可能性がある。その場合貴斗はともかく私は貴斗を支えきれる自信がない。
「俺の純情を弄んだ罪しっかり償おうな」
「えー」
「口答え禁止!」
そう言って不満げな私の唇をその唇で塞いでしまった。
Fin.
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