彼氏に自慰を撮影される

・作

出張で一週間会えないからと行為の撮影を土下座で頼まれる。渋りに渋った後、誰にも見せないことを約束に了承した。しかし指示されたのはまさかの自慰で…。今更断ることもできず、緊張しながらも自身の体を触っていく。撮影されているということが徐々に興奮していき…。

「お願いします!」

「え、ええ…」

目の前には彼氏こと、裕次郎が地面に額を擦り付けながら土下座をしていた。

彼の手元には録画の画面が表示されたスマートフォン。

識名はソファの上でクッションを抱きしめながら眉をハの字にした。

「一生のお願い!一回だけ!絶対!」

「でもさぁ…恥ずかしいし…」

「恥ずかしくない!識名は可愛い!可愛いから大丈夫!」

「恥ずかしいことには変わりないじゃん…」

裕次郎の必死さに驚きつつも恥ずかしさでクッションに顔を埋める。

先ほどからなぜ土下座されているのか言われれば──

「一週間会えないの辛すぎるってばぁ!」

「…耐えることは…」

「できない!」

数日後、裕次郎は一週間出張へ行ってしまう。

それ故に夜の営みを撮影したいというのだ、真昼間の今に。

寂しくはあるが二度と会えないわけでもなければ電話を禁止されているわけでもない。

ならばそれで十分だろうと識名は思うも、裕次郎はそうでないらしい。

ずっと土下座させているのも忍びなく、識名は聞こえるか聞こえないかの声で言葉をかけた。

「誰かに見られたらやだし…」

「見せない!厳重に管理する!むしろ可愛い識名誰にも見せたくない!」

「ずっとデータ残ってるの恥ずいし…」

「出張終わったら消す!」

「…本当に?」

「本当!絶対!契約書書いてもいい!」

「そこまでしなくてもいいけど…」

未だ土下座をやめない裕次郎を見て、一つため息をこぼした。

ソファから足を下ろし、彼のつむじに向かって口を開く。

「…一回だけだから」

「…まじ?」

「絶対誰にも見せないで。見せたら別れるから」

「見せません」

「罰金取るから」

「絶対本当に見せません」

「…なら、ベッドいこ」

そういうと裕次郎は顔をガバッと上げると、まるで犬の尻尾が生えたかのように嬉しさ満点の笑顔が溢れ出した。

その笑顔が愛らしくて可愛らしくて、識名はなんでも許してしまいそうになるのだ。

その笑顔にほっと安心していると裕次郎が思いっきり抱きついてくる。

慌てて手をつくき体を支えるもの、いつの間にか体は宙に浮いていおり横抱きされたのだと理解するのに時間がかかった。

寝室までの道のりは一分もかからない。

しかし緊張で寝室までの数秒が妙に長く感じた。

リビングからドアを開ければ静寂に包まれた寝室が顔を出す。

それだけで心拍数は上がり、識名は胸の前で手を結んだ。

ベッドへ優しく降ろされる。

裕次郎もまたベッドに腰掛けるといつの間にかポケットに入れていたスマートフォンを取り出す。

「撮影なんだけどさ」

「…うん」

「識名の、自慰が見たい」

「…、は?」

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