遊び人御曹司は極貧女子に夢中!?
亡き父親の借金の返済に追われる理恵子は女好きの上司、一ノ瀬が大嫌い。いつも理恵子のことをからかってくるからだ。そんな一ノ瀬にある提案をされる。「俺が理恵子の借金を肩代わりする。そのかわりに抱かせろ」――最初は嫌だったはずなのに、理恵子はだんだんと一ノ瀬の熱い視線に抜け出せなくなっていき……そして、明かされる一ノ瀬の秘密
“悪魔の節約レシピ”
“1ヶ月一万円で生活してみた”
“借金問題はこれで解決!?敏腕弁護士による借金減額の裏技”
理恵子は仕事終わり真っ先に書店に立ち寄る。
そこで手にする本のラインナップは大体こんな感じだ。
というのも先日、理恵子の父親は多額の借金を残して死んだ。
残された理恵子は今、必死に働きその借金を返済しているところなのでお金がない。
なので、少しでも貧乏生活に役に立つ情報を、本屋さんで立ち読みしながら仕入れているのだった。
「はあ…今日ももやしか…」
結局、立ち読みした本からは何も情報は得られず、理恵子はトボトボと帰路についた。
コツコツ…コツコツ…
あ、この音まただ…
数日ほど前から理恵子は帰る時、後ろをつけられている気がしてならなかった。
理恵子は手をギュッと固く握り、歩くスピードを早めた。
コツコツ…コツコツコツコツ
後ろの人間も理恵子に合わせ歩くスピードを早める。
間違いない。理恵子の中で疑いが確信に変わった。
やはり、後ろの人は私をつけている。
理恵子は腕を思い切り振り、走ろうとした。だが、後ろの人間にその腕をパシりと掴まれ理恵子はグイッと引き寄せられた。
「な、なんですか!?」
理恵子は恐怖で声を上擦らせながら聞いた。心臓はバクバクと音を立てている。
「な、なんですか!?ってどうしたんだ?そんな変な声出して」
聞き覚えのある声が理恵子の頭上から降ってきた。
理恵子が恐る恐る上を見上げると口の端を歪め笑う上司と目が合った。
絹のようなサラサラと風でなびく茶色の髪、そんな髪にぴったりな、淡い茶色の瞳は夜でも綺麗に輝きを放ち理恵子をまっすぐに捉えている。
夜で視界が悪い中でもこの上司のかっこよさは衰えを知らず、思わずうっとりと見つめてしまいそうになる。その上司の名は…
「うわ!?チャラの瀬!」
「ん?なんだチャラの瀬って」
やってしまった…
理恵子はいつもこの上司を陰でチャラの瀬と呼んでいる。というのも彼はかなりの女好きで色んな女性との噂が絶えないのだ。
「すみません。今のは忘れてください。一ノ瀬課長」
理恵子は慌てて名前を訂正した。彼の名前は一ノ瀬。理恵子の上司で今は会社の課長である。彼はアメリカから最近、私の働く支店に移動してきた。アメリカ人と日本人のハーフだという彼の体は大きく、目鼻立ちが整った端正な顔だ。そして、フレンドリーな性格なのですぐに社内の人気者になった。
だが理恵子はこの上司が嫌いだった。女にだらしないし、何かと理恵子のことをからかってくるのだ。
「まあ、いいけど。お前、家すぐそこだろ。話があるんだ。中でゆっくり話そう」
一ノ瀬は不適な笑顔でそう理恵子に言った。
「え、嫌ですよ」
理恵子は首をブンブンと横に振り必死に拒んだ。
「まあまあ、そう言わずに。それに結構、重要な話しなんだ」
一ノ瀬は強引に理恵子の腕を引き、理恵子の家まで歩いて行った。
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