夜の海辺で彼氏と… (Page 3)
「立てる?」
「無理、脚に力はいらない」
ビーチベッドの隣にあった小さなサイドテーブルに手を突かされた。
「しっかりテーブル掴んでて。へたり込まないように支えてるから」
テーブルのふちを掴むと誠一に腰を突き出している体制で、身じろぎをする。脚が震えて、砂浜のはずがマシュマロのように頼りない。気を抜くとへたり込んでしまいそう。衣擦れの音と共に誠一がぐっと腰を掴む。
熱くて固い誠一のモノがクリを擦り上げた。
「え、あ、なにっ?!やぁんっ、あぁっ!」
「そういや、やったことないか?避妊具の持ち合わせがないから、擦るだけ」
その言葉通り、入り口の周辺を通っていくのにいつものように入り込むことがなく、そのままクリまで擦られる。初めて感じるその感覚に蜜がぽたぽた零れ、擦られるスピードが上がる。きゅんきゅんとナカが締まる。擦られるだけじゃ切なくてたまらない。それでも快感を享受する体は絶頂感を感じている。
「あっ、あぁんっ、や、またイクっ!」
「俺も、イキそ…」
一際強く擦られ、クリが強く擦れ鋭い快感と共に背筋が弓なりに反った。それと前後して短く息を吐くのと同じく温かいものがつま先に掛かる感覚がした。
*****
「いい加減機嫌直せって。散歩してて転んだって言ったら、仲居さんが空いてるからどうぞって家族用の貸し切り露天風呂貸してくれたんだし」
「怒ってないよ。ただ明らかにくったりしている女の子と機嫌のいい男の子って、旅館の仲居さんにどんなふうに見られてるのかなとか。考えてたらいたたまれなくて、消えたいだけで。恥ずか死ぬ」
「あー、まあ、うん。ごめん…。なぁ、ごめんって。本当に機嫌直してよ、悪かったって。旅行で浮かれてた俺が悪かったよ」
後ろからぎゅうと抱きつかれ乳白色のお湯が跳ねる。だから別に怒ってないって。機嫌が悪かったとしたら、自己嫌悪だし。珍しく困り顔の誠一が可愛いやらなんやらでわざと不機嫌顔をしている部分もある。
「誠一はあれで満足しちゃったしね、男は単純でいいよね」
「え、物足りなくて拗ねてんの?…何なの、俺の彼女可愛すぎか?!」
そういうこと言うから嫌だったんだよ。気持ちよかったよ、確かに気持ちはよかったよ。けど、切なさが半端なかった。体はある程度満足しても心が満足しない。バックなのも嫌だった、同じことするにしても顔見たかった。避妊具をしないことのリスクも考えてくれたのはわかるけど、理屈では何とかならないものもある。
わがまますぎて自己嫌悪。
「大事にしたいから、無責任なことしたくないだけだよ。帰ったら、もっと一杯キスして、目いっぱい甘やかすから。機嫌直してよ、千夏」
「絶対だよ、約束だからね」
この言葉でどうでもよくなる私は大分簡単な女だと思う。優しく頬を撫でる手にそっと頬を寄せた。
Fin.
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