彼氏の兄からの愛撫にとける

・作

彼氏の家に遊びに行くと、エレベータでばったり彼氏の兄である俊一さんに会った舞香。そのお兄さんから彼氏が二股掛けているという話を聞いて…。思わず泣いてしまったら、俊一さんに急に抱きしめられて…。彼氏の家のベッドの上、優しい愛撫で溶けちゃう。彼氏のお兄さんと昼下がりの情事。

「どうも、お久しぶりです」

「ああ、舞香ちゃんだっけ。久しぶりだね」

サプライズで彼氏の家に遊びに来たら、マンションのエレベーターでばったり彼氏のお兄さんの俊一さんと会った。彼氏の4つ上。彼氏の兄で高校の時の先輩だから、私も面識があった。

「せっかく来てもらって申し訳ないけど、優二のやつ今いないんだよね。帰る?待ってるっていうならお茶ぐらいいれるけど」

「あ、待っててもいいんですか?」

どーぞと合い鍵でドアを開けてくれた。
俊一さんは相変わらずだな。紹介される前から顔位は知ってたけど、人気の先輩だった。硬派で優しいし、頭も良かった。
優二はそんな兄に反発してか、軟派。いまだになんで私なのかよくわからない位女友達もいっぱいいた。どんな種類の友達かは知らないけど。でも、私は優二が好きだしある程度、部屋に私とは180度タイプの違ういかがわしい本があっても許容している。

「母親に届け物頼まれてきたんだけど、ラインしたら今外出中だからテキトーに置いといてって言われて。まあ、コーヒーくらい飲んでも罰は当たらないでしょ」

私専用のマグカップにコーヒー淹れてくれた。ほこほこと湯気を立てるコーヒーに少しお砂糖と牛乳を足した。猫舌な私なりのカスタムだった。そんな飲み方はお子様だけだと優二は笑うけれど。適温になるのを待って口を付ける。

「舞香ちゃんって優二と付き合ってどれくらいだっけ。2年とか3年ぐらい?」

「もうすぐ3年ですね。付き合いだしたのが大学入学の直後ぐらいだったから」

「でもあいつ二股掛けてるよね。一時期三股してたけど。お互い納得ずくならいいんだけど、あんまり健全な付き合いとは…」

シンクにさげようとしていたマグカップが手から滑り落ちた。がちゃんっと大きな音を立て、シンクにマグカップの破片が散らばる。優二と選んだお気に入りのマグカップだった。

「え?」

「ちょ、大丈夫?怪我無い?」

「優二が二股?一時期、三股だったなんて知らないですよ。何それ、優二の中で私ってそんなに軽く扱っていい女?結局、その場限りの都合がいい女だったってこと?」

割れたマグカップが私の心みたいにだった。壊れてもう元の形も分からない位だ。こらえきれなかった涙が目じりから零れ落ちる。

「本当に優二はバカなやつだな」

俊一さんが私をぎゅっと抱きしめる。私を落ち着かせるように背中を優しく撫でてくれる。行き場のない両手を逞しい背におずおずと回す。ふわりとコロンの爽やかな香りが香った。

「あんなバカなやつの為に泣くな。あいつにその価値はないよ。って、俺のせいか。知ってると思ってたんだ、ごめん。本当にごめん」

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