優しい初彼氏に初めてを渡す話 (Page 5)

窓から差し込む月明かりに目を覚ます。

部屋は明かりが消され、秒針の音が妙に大きく聞こえていた。

亜里沙は見慣れぬ天井に疑問を持ちながら寝返りを打つ。

すると突然目の前に男性の胸が現れ、慌てて飛び起きればそこにいたのは深い眠りについている武也だった。

「あっ…武也、先輩…?」

横向きに寝ている彼の顔を覗き込めば瞼はしっかりと閉じられており、いつものかっこよさよりも愛らしさが増す。

下はズボンを履いているものの上半身は裸のままで、先ほどの出来事が夢ではないと自覚させられる。

思い出して頬を赤らめていると、武也は唸りながら寝返りを打った。

無防備の姿に愛おしさが胸を湧き上がる。

亜里沙は静かに口を寄せると武也の唇に口付けをした。

「愛してます」

それは行為中に紡げなかった言葉。

けれどもずっと胸に潜んでいた言葉。

亜里沙は武也の頭をひと撫ですると、体を横にすると武也の胸に身を寄せたのだった。

Fin.

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