年上の甘い彼氏に調教されてます

・作

元家庭教師で年上の峻さんと付き合っている女子大生の紫苑。ある日友達から借りたCDを二人で聞いているとそれはエッチなシチュエーションCDだった。それが今まで知らなかった彼の意外な性癖のスイッチを押してしまったようで…?彼氏の調教が始まる。

私の部屋でいつかクレーンゲームでとってくれた大きなクマのぬいぐるみを撫でながら、年上の彼氏である峻さんが甘く笑う。

「さあ、そろそろしつけの時間だよ。紫苑」

私はごくりと息を飲んだ。

*****

私と峻さんは以前家庭教師と生徒だった。当時高三で受験を控えていた私。どうも苦手な数学を教えてくれたのが峻さんだった。当時峻さんは大学生。3歳上の家庭教師のお兄さんは私には大人に見えたし、明るくて、気さくで、柔和な顔立ち。きっと彼女もいると思っていたんだけれど、

「彼女?いないよ。それよりこの問3を解こうね」

笑ってあっさり否定し、出した問題を早く解くよう急かされる始末だった。そうこうしている間に受験も終わり、当初の志望校よりワンランク上の大学に合格。その報告をしたとき、よく頑張ったねと頭を撫でてくれた。その時タガが外れたのか言うつもりのなかった言葉が口から零れた。

「好きです、峻さん」

「…僕の彼女は大変だよ?」

そんな始まりだった。大変だと言っていた割にそう感じなかった。束縛もなく、SNSの制限や、友達の制限もなければ、メッセージアプリの返信の時間もそうとやかく言われなかった。というより私は即レスなのに対し、峻さんは普通に2、3時間は放置だ。社会人になって忙しいだろうから私もそのことについて文句ないし。そこそこいや、かなり順調なお付き合いと言えた。
自己申告の大変とかあてにならないよな。とか思ったあたり私はまだまだ初心だった。

*****

やがて20歳になり一人暮らしを始めた。というのも父の転勤が決まり、母が付いていくことにしたからだ。ならもう一人暮らしでも大丈夫だろうと判断された。
そこで学校の近くのアパートに部屋を借りた。こじんまりしたアパートで大家さんもいい人で、隣は空室。峻さんを招くのに不自由がなかった。
いつもは映画みたり、次のデートの予定立てたり、イチャイチャしたりだけど、その日はちょっと違った。

「このCDなに?紫苑は音楽スマホ派だろ」

「友達が貸してくれた。確かシチュエーションボイスって言ってたかな。すっごい推すから、聞いてみたいって言ったら一押しの貸してくれた」

とにかくもすべてが最高過ぎてヤバすぎといって激推ししてくるので、某動画サイトでも聞けるけどどうせならとCDを貸してくれたのだ。CDならパソコンで聞けるし。貸してくれた友人が言うにヘッドフォンもしくはイヤホン推奨とのことだった。

「まだ聞いてないんだったら、これから聴いてみる?イヤホンなら二人で聞けるし」

「そうだね。じゃあ、パソコン入れてみようか」

何とも軽い気持ちで二人でCDを聞くことになった。今思うとこれがターニングポイントだったと思うし、これが峻さんの意外なところにあったスイッチを強く押してしまった出来事だと思っている。

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