ひたすら夏に溶ける

・作

暑い夏の午後、私は夫とセックスをむさぼり合う。親族には「子供はまだか」とせっつかれるが、私も夫もその気にはなれない。特に暑い夏の溶けあうようなセックスを交わしているときには私たちはただ至上の快楽をむさぼることしか考えていない。汗も涙もあらゆる体液も混ざり合ってひとつになってしまいたい。

夏の午後、私は浴衣姿でうたた寝をしていた。

キシッと床が鳴った。

「無防備極まりないな」

男はそう言うと私のそばに寝転んだ。

浴衣越しに私のからだをなで、浴衣の裾を割る。

下着は履いていない。

「来ると思ったから」

私はククッと喉を鳴らす。

「シャワー浴びてきたけどまた汗が出てきた。今年の夏の暑さはどうかしている」

夫であるその男はそう言いながら指を滑らせて秘部にたどり着き陰毛をかき分け割れ目に触れる。

そこはしっとりと濡れていた。

「私も浴びてきた」

「こういう日にきみとセックスするの、僕は好きなんだよな」

割れ目の奥に隠れているクリトリスに触ると私はからだをひくりと動かした。

「私もよ」

夫の固い指の腹が私のクリトリスをクルクルと撫でまわす。

「ハア……」

慣れた愛撫はすぐに私の好きなポイントを探り当てる。

クリトリスはきゅっと固く存在を誇示しはじめ、お湯交じりに濡れていた秘部から別の体液がじんわり滲み始める。

「父さんと母さんが、早く子供を作れだってさ。いつ孫が抱けるんだって」

「んん……。凡庸なせりふね。本当に、そんな、あ、こと言う親っているんだぁ。あ」

キュッキュッという摩擦音がいつの間にかヌチュッというぬめったものに変わっている。

ぬちゅぬちゅ、プチュプチュと音を立てて夫の指は私のクリトリスを翻弄する。 

「あ、はん。そこ。あう」

指の動きに力がこもる。

私の足先がピンと突っ張る。

まなじりに涙がたまる。

くちゅくちゅくちゅと愛液が肉と絡まる音がする。

「あ、あふ。あん、あん、あ」

全身が緊張しすぐに弛緩した。

「イクの早くなってない?」

汗ばんだ私の額を撫でながらいたずらげに夫が尋ねる。

「……あなたが私のからだを知り尽くしてるからよ。ああ、汗出た」

「クーラーつけてても暑いものは暑いね」

夫は立ち上がるといったん部屋を出ていく。

戻ってきた彼の手にはミネラルウォーターのペットボトルと。

ローターがあった。

*****

「あ!ああ!だめ!強い!」

一度指で達した後のローターは刺激が強すぎる。

気持ちいいというより、つらい。

電気を当てられてるみたいな強烈な感覚に私は悲鳴を上げる。

「あまり、良くない?」

「うん。今は」

夫がおもちゃを床へ置いた。

夫はペットボトルの水をくっとあおると、口移しに私に飲ませてくる。

私はビールが良かったかなと怠惰なことを思いながら口づけを受ける。

ぬるくなった水と、夫の舌が口の中に侵入してくる。

水を飲み干し、夫の舌肉に自分の舌を絡ませる。

「んん、ふ。ん」

くすぐったさで私は喘ぐ。

お互いの唾液を交換し、何度も舌を挿入しあう。

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