ここから先は勤務時間外です
大手メーカーの秘書課で働く冴香。配属されて5年やっと常務の秘書に慣れてきたところで急に社長の秘書をすることに。今までとは比べ物にならないぐらい多忙になった冴香は残業の毎日。いつも通り残業していると社長に声をかけられて。勤務時間外の社長室での一夜。
大手メーカーに就職して、営業希望だったのになぜか秘書課に配属されて5年。最初の1年はほとんど語学学習に費やされ、英語は当然のこと中国語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語からロシア語までみっちり仕込まれた。そのおかげで大体どこでも日常会話や電話ぐらいでワタワタせずに済んでいる。語学だけでなくマナーに至るまでそれこそしっかり仕込まれ、常務の秘書になって4年。やっと仕事に慣れたところで突然の辞令。
「西宮さん、あなた1週間後から社長の秘書になってもらうわ。明日から引き継ぎ業務にあたって。今日は定時でいいから」
「私からの引継ぎは大丈夫でしょうか?」
「今進行中の仕事はないから大丈夫よ。単純に前任の人が長期出張から帰ってくるし。業務形態は変わらないし、その方は秘書課20年以上の大ベテランだから」
というわけで、やっと仕事が慣れ始めたというのに社長秘書になることが決定した。
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突然の辞令から現秘書さんからの引継ぎが始まった。
「通常業務はこんなところかしらね。電話対応や急な客に対する対応は一応マニュアルはあるけど柔軟に対応して、社長にちゃんと確認さえすれば大丈夫だから。式典とかはその都度指示があるから。質問はある?」
「定時が18時から23時なんですけど」
「日によって違うのよね。割と夜遅い時間にくるメールの中には急を要するものもあるから。着替えは常に三着くらいロッカーに常備するのをすすめるわ」
なんとなく私に務まるのか不安になった。
説明は3日くらいで、後は先輩の後につく形でほぼ実務研修だった。通常業務でさえ、以前の2倍はある。千手観音のように仕事する前任者のようになるには何年かかるやら。そうして社長秘書としての仕事が始まった。
非現実的な設定
最初に秘書課で何ヶ国語も仕込まれる研修、と出てきた時点で非現実的で読むのをやめてしまった。仕事したことありますか?
うーん… さん 2023年9月30日