腹ペコ男子のお腹を満たしてあげたらその次は…。
会社の昼休憩に近くの公園で昼食をとっていた夏音(かのん)は、近くで倒れ込んだ大学生の男子を介抱する事に。話を聞けばバイトの給料日前でまともな食事が取れていなかった様子。少々警戒しながらも自宅で手料理を振るまってあげる事になるが、腹が満たされ元気になった彼は…。
昼休憩時間に会社近くの公園でお昼ご飯を食べていると、私の目の前で大学生くらいの男子がドサッと倒れ込んでしまった。
「だ…大丈夫ですかっ!?」
驚いて声をかけながら、大きく体を動かさないように気を付けつつそっと頬に触れてみた。
「うう…お、お腹が空いて…動けません」
返って来た言葉であっけに取られるも、ほっそりした体躯と青白い顔に只事ではないと判断して介抱することにした。
会社には急病人を介抱するためと連絡をいれ、まだ残っていた私の昼食を分け与えて少し動けるようになったときに一緒にタクシーに乗り込んで私の自宅へと向かった。
*****
「はぁ~美味かった~!!本当に助かりました…夏音さん、ありがとうございます」
「残りものばっかりで申し訳なかったけど、美味しそうに食べてくれてよかった」
彼――ハルキ君は近くの大学に通う学生だった。
タクシーの中で聞いた話では、大学に提出するレポートの作成中にPCが壊れてしまい、安いPCを買ったはいいがバイトの給料日前ということもあってまともな食事がとれていなかったらしい。
そのため、自宅に着いてから作り置きしていたご飯を彼に出したというわけだ。
「食器片しちゃうから、少しその辺で休んでてもいいし、動けるならそのまま帰っても大丈夫だよ」
「あ、食べさせてもらったお礼何もしてないし、食器は俺が洗うよ。スポンジかして」
スッと後ろに立ったハルキ君は私の体を抱き込むような体勢でスポンジを持った私の手を握った。
細くて元気のない姿を最初に見ていたからか、大きな筋張った手に男を感じて内心ドキッとする。
「あ…いや、でも…」
「ねえ…夏音さん。もしかして、他のこと、期待してない?」
「へ…どうして?」
「耳の先まで真っ赤だし、それに…心臓の音、すごい」
ハルキ君は反対の空いた手をそっと胸に置いた。
自分でもわかるくらいにドクンドクンと彼の手を勢いよく叩いている心臓から、一気に熱が全身を駆け巡るように感じた。
男の人に触れられるのはどれくらいぶりだろう…。
「ご、ごめん…」
恥ずかしさのあまり訳もわからず謝ることしかできなかった。
「謝らなくていいよ。可愛いなって思ってるし。ねえ、お礼…別のにしよっか。夏音さんがしたいこと、俺が叶えてあげる」
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