子供扱いじゃなくて女扱いして (Page 6)
「う…んっ、つめたっ」
「え、あっ、冷たかった?体が熱かったから、タオルは水に浸したんだけど」
徹君が濡れたタオルで体を拭いてくれた。体を起こそうとするとズキンと痛む。でも不思議とかけていたパズルの最後のピースがはまったみたいな、しっくり来たような感覚が残っている。
「気分悪いとかないか?貧血は大丈夫そうだけど。初めてなのに無茶させたな。反省してる、ごめんな」
優しく頭を撫でられる。あの時とは感覚が違う、子供扱いじゃない頭の撫で方。優しくタオルを滑らせる手つきも、頭を撫でる手つきも、女扱いだ。初めてされる女扱いがくすぐったい。望んだ扱いでも実際されるとくすぐったいような落ち着かない気分がする。でも、気持ちよくて私は目を細める。
「なんか嬉しそうだな」
「ん?徹君に抱かれたことを今実感してるの。疲れも痛みも愛おしいの」
やっと実感がじわじわ沸いてきて、疲れも痛みもその証拠だと思うと愛おしく感じた。
「お前、なんで今この時点で最高にあおってくるわけ?狙ってんのか?この小悪魔!体つらいだろうから、結構かなりセーブしたのにそんなこと言われたら抱き潰したくなる」
「徹君になら抱き潰されてもいい…」
「そーいうとこだよ!ホント、そーいうところ!」
すねたら幼く感じるのは昔と一緒だ。今は私だけが知ってる昔の面影。
「徹君しばらくいるんでしょう?嬉しいな。いつでも会えるし、休日は独り占めできる」
「そうだな、しばらくは。新居決まったら、合い鍵作らないとな。いつでも歓迎だし、本当にいつ来てもいいから、持ってて」
合い鍵くれるんだ。これからはいつでも会えるのかと思うとそれだけで甘い気持ちで心がいっぱいになる。
「ね、最後に言ってくれた言葉もう一回言って」
徹君がこつんと額を合わせて、私の目をまっすぐ見ながらささやく。
「なずな、愛してる」
その時零れた涙は徹君のキスであっという間に止まってしまった。
Fin.
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