子供扱いじゃなくて女扱いして (Page 2)
お母さんはちょうど出かけるところだったらしく、あんまり迷惑になる時間までいないようにねとだけ言った。
徹君の家のドアを開ける。鍵がちゃんと開いていた。すぐに階段を上がる。
「なずな、いらっしゃい。今俺しかいないから大したもてなしできないけど」
久しぶりの徹君の部屋はものは少なくなっていたけど、家具の配置は何も変わっていなかった。あの頃のままだ。
「昔はよくゲームしたり、宿題見てやったりしたよなぁ。なずなはあのころから本当に変わらないなぁ。子供の頃の面影そのまんま」
「子供扱いしないで。もう20歳だし、徹君の後ろについて回ってた子供じゃないんだから」
「そうだったな。でも、20歳で大人だと思ってる時点でまだまだ子供な証拠だ」
徹君の大きな手が頭を撫でる。子供の時は嬉しかった。それこそ、高校に受かった時も模試がよかったときとか第一志望の大学に受かった時はよくしてくれた。その頃はそれなりに嬉しかったんだけどなぁ。今はあんまり嬉しくない。
頭を撫でる手を取って、指を絡める。
「もう、子供じゃないんだよ」
「やけに否定するな。今でも俺の後ろを付いてくるような歳だとは思ってないよ」
「徹君は何もわかってない」
私が一体何年越しで思ってるのかも。確かに本当のお兄ちゃんみたいに思ってた時期だってあるし、憧れとか小さいころの刷り込みがないと言ったら嘘になる。錯覚でも思い込みでも何でもいい、好きだという思いは本気の本物だ。
「徹君、好きだよ。小さいころから、ううん、あのころよりずっと好きだよ」
「どうした急に、俺だって妹みたいに思ってるし好きだけど…」
徹君が目を逸らす。的外れなこと言ってる自覚があるのか。私の好きが親愛でも敬愛でもないことに気が付かないほど察しが悪くない。私がずっと好きだったことにも気が付かないぐらい鈍い徹君にも私の本気は伝わってるはず。
「…嘘ついた。妹みたいに思ってたのなずなが15歳くらいまで。子供扱いしないと理性きれそう…」
「いいんだよ、もう私だって大人なんだから!」
徹君は私を強く抱きしめて、噛みつくようにキスをした。
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