優等生の仮面を脱ぐとき

・作

成績優秀で教授達からの信用も厚い誠と付き合うことになった京香。紳士的で優しくどこか淡白なイメージだったけれど実際は超肉食系男子との噂が。気になって聞いてみたら「試してみる?」と言われ…初めて見る優等生の仮面を脱いだ彼の素顔は?

正直身に余る彼氏だと思っている。
頭がよくて、運動神経もよくて、優しくて、紳士的なまさに王子様キャラのような人。そんな人が三次元にいること自体奇跡だと思うけど、そんな人が私の彼氏とかミラクルを通り越して、もう間違いとかそっち系のレベルだ。彼から告られたときなんか

「え、何かの罰ゲームか何か?ほ、本気にしちゃうよ?その、世間話とかを真に受けちゃう性分だから…」

「僕は好きでもない子に好きだとか、例えば嘘だとしても言えない性分だよ」

そこまで言われて断るなんて選択しないでしょ。そうして交際がスタートしたわけだ。教授陣がなんとか優等生な誠君を獲得しようと躍起になってあれやこれやお願いするから、なかなか時間が取れないっていうのが難ありだけど。

「いやー、倉田君にはうちのゼミ来てほしいね」

「やめてくださいよ、葛城教授。倉田君は僕が最初に目をつけていたんですから」

「ははっ、どちらのゼミも魅力的なんで悩んじゃいますね」

冗談か何かのたぐいだと思って誠君は笑っていなしているけれど、どこのゼミも是非ともうちに!と水面下で激しい取り合い合戦が行われていると聞いたことがある。そのため掛け持ち案も出てるとか。とくにおじいちゃん先生にウケがいいから、信頼が厚い。

そんな優等生で、付き合う前や付き合ってからもどこか淡白な感じを受けていた。

「えー、倉田君ってすごい肉食系で有名だったよ?高校の時だけど。マダムキラーというか老いも若きもというか」

「全然そんなことないよ。超紳士的。優しいし、連絡もマメ。一人称が実は俺だっていうのはびっくりしたけど」

キスも最初のころは軽いものだけで、抱きしめられても簡単にほどけるぐらいそっとだった。

「よほど大切なのか、本命じゃないかのどっちかだね。本人に聞いてみたら?傷は浅いうちがいいでしょ」

優しいのか冷たいのかよくわからないことを言われた。にわかには信じられなくて、悶々と一人悩み続けるのもだんだん疲れてこの際フラれたらご縁がなかったということでと思い、本人に聞くことを決意した。

*****

「誠君が実は肉食男子って聞いてたけど本当?」

「俺はそう思ったことはないけど、どうなのかな」

誠君とのおうちデート。この日を狙って、聞こうと思っていたことを思い切って直球勝負で聞いてみた。

「なあに?そういうところ気にするとかかわいいね京香」

「はぐらかしてる?」

「試してみる?」

そう言われてどこか妖艶な微笑みにうなずいてしまった。

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