紗季の悪い癖。そんなセックスじゃイけません
ピュアで愛らしい女性、紗季の恋人の秀紀はある夜紗季から衝撃的な言葉を告げられる。紗季曰く秀紀のセックスでは本当は感じていなかったとのことだ。戸惑いと怒りを覚えながら紗季を抱く秀紀だったが、荒々しい抱き方にビビッドな反応を見せる紗季にどんどん気分は乗ってきて…。
「もっと乱暴にしてほしいって?どういう意味?」
俺はネクタイをほどく手を止めた。
「そう言う意味。私乱暴にされないとイケないの」
紗季は俺を見上げて言った。
俺の心の中で何かが瓦解した。
ちょっと待って。それって…。
「え、じゃあ今まで「気持ちよかった」とか言ってくれてたのは嘘なの?」
「嘘じゃないわ。秀紀は私を気持ちよくしようとすごく丁寧に優しく抱いてくれるし、私、愛されてるなーっていつも幸せよ。だけど、その…。秀紀だから本音言うね。もっと手荒く扱ってくれていいの。そうして欲しいの」
俺はベッドに腰掛ける紗季のかたわらに座った。
紗季は子供のようにちょこんと座っている。
時折見せるイノセントな姿がたまらなくいとおしい。
でも今は。
「あのね、秀紀。私、初体験が悲惨だったの。高校の同級生で入れる穴も分からない童貞なのに偉そうで強引でほぼレイプだったわ。怖くて痛くて最悪だった」
「だったら乱暴なセックスなんていやだろ」
「そうなんだけど。何故か分からないけど、それから付き合う男性、男性、みんな乱暴な人で。そうじゃないと満足できなくて」
「じゃあ俺と付き合うようになったのは?セックスで我を通して勝手する奴だからと思ったから?」
「そうじゃないわ。私、初めてなのよ。優しい人柄に惹かれて好きになったのって。秀紀が初めてなの。秀紀のこと大好きよ。セックスも。でも時々すごく…もっと、ほら、もっと無茶してくれてもいいのにって、ごめんなさい。私馬鹿なこと言ってるわね」
俺は思わず細やかな紗季の肩を掴んだ。
紗季とまっすぐに目が合った。
紗季は真っ赤な顔をして目を潤ませている。
彼女は本気だ。
勇気を出しての告白でもあるだろう。
「あの…殴ったり、ぶったりとかしなきゃならないの?無理だよ俺には」
「…ごめんなさい。やっぱり無理よね。秀紀には」
俺には?
最後のひと言が癪に触った。
俺は力を入れて紗季をベッドに押し倒した。
「ああ」
紗季がか細い悲鳴を上げる。
瞳がうるんでいる。
恐怖からじゃない。
期待からだ。
彼女のゆるんだ口元でそれが分かった。
俺はなんだか頭にきた。
今までずっと感じるふりをして俺の抱き方を品評していたのだろうか。
「脱げよ」
自分の声がぞっとするほど冷たいのが自分でもわかった。
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