裏切りは蜜の味

・作

遠距離恋愛中の彼氏がいる葉月はある日彼氏の裏アカを発見し、浮気を確信。そっちがその気ならと『相談がある』と言って呼んだのは彼氏の親友で葉月の男友達でもある大地。彼氏の親友と浮気することで憂さを晴らそうとするけれど…

高校から付き合ってる彼氏とは遠距離恋愛中だ。彼が地方の大学に進学したからだ。私はと言えば、高校よりは遠いが家から通える距離の大学に進学した。

長期休暇にはちょいちょい帰ってきてデートも一杯したし、離れてる分こまめに連絡も取っていた。

しかし、20歳と共にお酒を覚えたらしい彼は目に見えて連絡が減った。怪しいと思って私なりに探りを入れた所、彼氏の裏アカウントを発見。女性と腕を組んでる写真が多数。浮気を確信した。しかし、浮気とはいい身分だな。

そっちがその気なら、私にだって考えがある。ある人物へ電話を掛けた。

「おー、葉月久しぶりだな。どうした?」

「あ、もしもし大地君?近々会えないかな、相談したいことあるんだけど」

「いいよ、あ、明後日バイト休みだ」

「私も大丈夫。駅前で待ち合わせよ。飲みに行こうよ」

大地君は彼氏の親友で、高校の同級生だから私にとっても気の合う男友達。急な誘いに関わらず、文句のひとつも言わないところが彼のいいところだ。

*****

約束の日、ちょっと早く着いたけど、2分もしないうちに大地君は来た。

「早かったんだね、待った?」

「ううん、今来たところ。ちょっと早いけど行こうか」

「お店予約してくれたんだっけ?俺はチョイス自信ないからさー、ありがと助かる」

私から誘ったのにそう言ってくれる。他愛ない話をしながら私達は歩き出す。今日予約したのは秘密の話や相談にはうってつけの個室風の居酒屋。

「いいお店知ってるね。こういうとこ初めてきた」

「先輩に教えてもらったの。実は私も初めて」

適当なおつまみと烏龍茶とビールを注文する。あまりお酒強くないし、酔いからの勢いや戯言だと思われては困る。

「で、相談ってアイツの事?」

すぐに来たビールを飲みながら大地君がおもむろに切り出す。相談があると言った時点で彼氏絡みだとは思っていたんだろうけれど。

「うん、浮気されてるっぽい?てか、浮気されてる」

例の裏アカを見せる。大地君はちらっと見て、あちゃーみたいな感じで額を押さえた。

「まあ、まさに浮気の証拠だな。付き合ってもない女の子と腕とか組まないし」

「マジムカつく。許せない。私も浮気しちゃおうかなぁ…」

「いいね、俺と火遊びしちゃう?」

大地君は悪戯に笑っている。酔ってないからこれは勢いじゃない。

「火遊びしたいって言ったら、付き合ってくれるの?」

自分でも露骨すぎる誘い文句だと思う。大地君はちょっと驚いたあと、いいよと笑った。

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