大人気アイドルの甘い快感指導
駆け出し女優の美羽は深夜ドラマの出演が決まったものの、ラブシーンをどうすればと思い悩んでいた。そこに共演者でアイドルの天野蓮が『よかったら相談に乗るよ』と言ってくれて。人気アイドルがベッドの上で手とり足とり演技指導。ドキドキ初体験――。
夢だった女優になって、一年ちょっと。最近ドラマなどの仕事が来るようになってきた。今までは医療ドラマ、刑事ドラマが多かったんだけど。
「恋愛ドラマですか?」
「そう。ヒロインの親友役でヒロインの恋愛のアドバイザー。大人気マンガの実写化で注目度も高いドラマよ」
マネージャーの田中さんにそう言われ、台本を受け取った。私も読んだことがあるマンガだ。あれ、でも確かヒロインの親友って恋人がいて…
「…田中さん、こ、これ濃い目のラブシーンが台本にあるんですけど」
「ああ、作者さんの意向もあってそういう方針で行くって。深夜ドラマだし」
それは分かるけど、ラブシーンなんてやったことないんだけど。キスまでならあるけど、ベッドシーンとかどうやったらいいのか。
「明日共演者顔合わせで、撮影は来週末からね」
「ラブシーンとか自信ない…」
「ラブシーンと言ってもAVじゃないんだから、そこまで構えなくて大丈夫よ」
超ノリ気だ。今更言い出せない、経験が全くないとか。
彼氏がいないこともなかったんだけれど、そういう関係になる前に自然消滅。どうしようと悩んでるうちにクランクインを迎えてしまった。
*****
撮影自体はいたって順調で共演者も気さくでいい人ばかりだ。何よりベテランの俳優さんや女優さんの演技は本当に学ぶことが多く、いい刺激に溢れている。問題はベッドシーンだ。撮影はいよいよ明後日。読んでいた台本を閉じてため息を吐く。
「どうしたの?体調悪い?」
パッと顔を上げた。びっくりした。ニコニコと人懐っこい笑顔で天野蓮くんが目の前に立っていた。
天野蓮君は大人気アイドルグループの一人でドラマの主演、ヒーロー役だ。
「美羽さん最近なんか浮かない顔してるよね。撮影も順調だし、NGもほとんどないのに。なんか悩み事?」
「悩み事というか、演技方針とかを考えてるというか」
こういう事を相談してもいいものなのか迷う。同性でもしにくいのに、異性とかさらにしにくい。
「よかったら相談に乗るよ。言いにくいこと?」
「はい、まあ。言いにくいというか、こんなことを相談しても困るんじゃないかと…」
「全然気にしなくてもいいのに。まあここじゃ、人の目もあるしね。この後オフだから、ご飯付き合ってよ。お昼ご飯食べ損ねてお腹ペコペコなんだ」
「はい、よろこんで」
返事すると同時に天野君はスタッフに呼ばれ、ニコッと笑ってスタッフの方へ駆けて行った。いい人だなぁ。でも、大人気アイドルだしご飯とか大丈夫なのかな。あ、他にスタッフさんとか共演者さんとか誘うのかも。二人きりとは言ってなかったし。
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